ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

OECDが付加価値ベースで見た自国産出割合を発表。日本は世界1位なのだが・・・

 

 経済協力開発機構(OECD)は5月28日、世界貿易機関(WTO)と共同で、貿易総額ではなく付加価値に着目し、その価値がどこで創出されたのかを分析した報告書を発表した。それによると、日本は国内で消費する製品やサービスの付加価値のうち、88%が国内で創出されていることが分かった。この割合は40カ国中、第1位である。

 OECDは2013年1月、付加価値に着目した貿易統計の結果を発表している。
 それによると、2009年における日本の輸出総額は米国向けよりも中国向けの方が多いが(現在は中国が低迷し拮抗している)、付加価値ベースでは米国と中国は逆転する。

 また日本が得ている付加価値ベースの貿易黒字は、ほとんどが米国向けであり、中国向けはほぼゼロとなる。それは中国に輸出した製品が、中国で組み立てられ最終的には米国に輸出されているからである。

 今回の報告書はこの付加価値ベースの貿易統計をもとに、国内で消費される製品やサービスの付加価値のうち、どの程度が国内で創出されているのかを分析している。
 日本は国内で創出される割合が88%と最も高く、次いでブラジル、米国、中国、インドネシアが続いている。逆に国内で創出される付加価値の割合がもっとも低かったのは欧州の金融国家ルクセンブルグであった。

 国内で生み出される付加価値の割合が高いという状況は2通りの解釈ができる。国内での製品やサービスの開発能力が高く国内の産業ですべての付加価値をカバーできるという解釈と、市場が閉鎖的、硬直的で消費者は国産の製品やサービスの購入を強いられているという解釈である。
 上位5カ国のうち、ブラジル、中国、インドネシアは、発展途上国であり、市場の機能が不完全である可能性が高い。これらは後者の解釈が妥当であろう。一方米国は、間違いなく前者になる。米国は中国などから莫大な量の輸入を行っているが、米国が輸入するのは付加価値が低い製品ばかりである。米国は付加価値の高いものを生産しており、付加価値ベースでの自国生産比率は高い。

 日本の解釈は微妙である。確かにブラジル、中国、インドネシアと比べれば日本の産業は圧倒的な厚みがある。だが日本は米国と比較すると、付加価値の低い産業が多い。それにも関わらず、付加価値ベースの自国生産比率が高いということは、日本は米国よりも市場が硬直した状態にあることが推察される。

 日本は付加価値の低いものは思い切って輸入に切り替え、付加価値がより高い産業にシフトすることが求められているといえるだろう。

 - 経済 , ,

  関連記事

amari
まるで大政翼賛会?閣僚が名指しで企業の賃上げに言及。賃上げは本当に正しいのか?

 甘利経済再生相は5日、コンビニエンスストア大手が相次いで賃上げを表明したことを …

setubitousi
政府与党内で減税論議が本格化。設備投資減税が中心だが場合によっては法人減税も

 9月になり、秋の臨時国会が視野に入り始めたことで、政府与党内における減税論議が …

shukinpeiru
習近平国家主席が就任早々、米国のルー財務長官と会談

 米国のルー財務長官は3月19日、中国を訪問し、就任したばかりの習近平国家主席と …

keizaizaisehakusho2013
アベノミクスへの踏み絵?経済財政白書は竹中平蔵氏も真っ青の新自由主義的内容

 甘利経済財政相が7月23日の閣議に提出した平成25年度「年次経済財政報告(経済 …

bouekitoukei201312
12月の貿易赤字はさらに拡大。慢性的な経常赤字に備えた政策が急務

 財務省は2014年1月27日、2013年12月の貿易統計を発表した。輸出額から …

banri
万里の長城遭難ツアー会社は死亡事故2回目。危険ツアーが組まれる背景とは?

  中国の「万里の長城」付近で起きた日本人ツアー客4人が遭難した事故で、ツアーを …

rikokkyoubetonamu
中国の李首相が早速ベトナムを訪問し、領有権問題の懐柔策をベトナムに提示

 中国の李克強首相は10月13日からベトナムを訪問し、ベトナムのグエン・タン・ズ …

s&p
EUがヒステリーを起こして格付会社に八つ当たり。規制強化を決定

 欧州において格付け会社に対する規制が大幅に強化されることになった。格付け会社へ …

kyuyomeisai02
4月の実質賃金は24カ月ぶりに上昇。だが中身は物価上昇率の鈍化

 賃金の伸びから物価の上昇分を差し引いた4月の実質賃金が24カ月ぶりに増加となっ …

jrkyushu
JR九州の株式上場計画。政府支援の是非など、克服すべき課題が山積

 九州旅客鉄道(JR九州)が2016年度中の株式上場に向けて動き出した。だが、完 …