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OECDの世界経済見通し。日本は好調だが10兆円の景気対策による影響が大きいと指摘

 

 経済協力開発機構(OECD)は5月29日、2013年の世界経済見通しを発表した。全世界のGDP成長率は3.1%となり、前回(2012年11月)見通しの3.4%から下方修正となった。欧州と中国の見通しが大きく落ち込んだほか、米国もわずかだが引き下げとなった。一方、大型の景気対策を実行している日本は上方修正となっている。
 好調な米経済と下方修正となりながらも相対的に高い成長率を維持している中国が世界全体をリードし、欧州が足を引っ張る構図が明確になりつつある。

 米国の成長率見通しは1.9%で前回の2.0%からわずかに下方修正となった。中国は7.8%で前回の8.5%からは大きく減少しているが、相対的には極めて高い成長率を維持している。

 日本は前回の見通しでは0.7%だったが今回は1.6%に上方修正となった。日銀による量的緩和策と、今年1月に成立した2012年度補正予算(総事業費20兆円、政府支出10兆円の緊急経済対策)の影響が考慮された。

 一方、欧州の景気は失速していることが明確になった。欧州の失速は、EUやIMFの見通しがすでに発表されていることから予想の範囲内であったが、前回見通しのマイナス0.1%からマイナス0.6%に大幅な下方修正となっている(本誌記事「EUが経済成長見通しを下方修正。緊縮財政は事実上棚上げか?」参照)。
 イタリアはマイナス1.0%からマイナス1.8%に、スペインはマイナス1.4%からマイナス1.7%に、ギリシャはマイナス4.5%からマイナス4.8%にそれぞれ引き下げられた。これまでは比較的好調だったドイツも欧州全体に足を引っ張られ0.6%から0.4%に下方修正となっている。フランスはマイナス0.3%になり、とうとうマイナス成長に転じた(前回は0.3%)。
 OECDは欧州に対して、若年層の失業が構造的な問題にならないうちに、労働市場改革を実施する必要があると指摘している。一方、EUは加盟国に対する財政赤字削減目標の緩和を決定しており、ドイツが主導してきた緊縮路線からの転換を表明している(本誌記事「EUが加盟6カ国の財政目標を阪和。とうとう緊縮財政からの転換を表明」参照)。痛みを伴う労働市場の改革に欧州諸国がどれだけ本気で取り組むのかは不透明だ。

 2014年以降については、全体的に景気は持ち直すとしており、特に米国については2.8%という高い成長率を予測している。ただ、景気下降リスクは縮小しているものの、まだ予断を許さない状況だと報告書は指摘している。

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