ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

これは悪いインフレの兆候?4月の消費者物価指数は庶民にとってトホホな内容

 

 総務省は5月31日、4月の全国消費者物価指数を発表した。生鮮食料品を除く総合指数は前年同月比で0.4%のマイナスとなり、いまだにデフレが継続していることが明らかとなった。一方で先行指標といわれる東京の物価は上昇に転じており、物価が下げ止まる可能性も出てきた。
 だがその内容を詳しく見てみると、値上がりして欲しくないものだけが値上がりする、いわゆる「悪いインフレ」の気配も見え隠れしている。

 生成食料品を除く総合指数(2010年を100とする)は前年比0.4%のマイナスだが、前月比では0.3%のプラスとなった。だが価格変動が大きいエネルギーを除いた総合指数は前月比で見ても横ばい、前年同期比ではマイナス0.6%と下落幅が大きくなっている。全体的にはまだデフレが継続しているとみてよい。

 一方、全体の先行指標といわれる5月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年同月比0.1%の上昇となり、4年2カ月ぶりにプラスに転じた。
 ただエネルギーを除く総合指数では前年同月比マイナス0.3%と下落が続いている。

 要するにエネルギー関連費が物価を押し上げているものの、それ以外のほとんどの分野はデフレというのが実態ということになる。先行指標がプラスに転じていることをもってデフレから脱却しつつあると考える専門家もいるようだが、生活実感を考えるとその解釈には無理がある。
 エネルギー関連費用の多くは電気代であることを考えると、電力会社による一方的な値上げで見かけ上デフレから脱却しつつあるように見えるだけと解釈する方が自然だ。

 光熱費以外でも、値上がりした項目を見ると、前向きに解釈できるものは少ない。自動車関係費の増加が目立っているが、これは自動車保険料の値上がりが主な原因である。若年層を中心に自動車を購入する人が減っていることに対応した値上げであり、国内市場の縮小を反映したものといえる。また被服費の増加は、円安によってアジアからの輸入物価が上昇したことが、娯楽費用の増加は海外旅行代金の増加が主な原因だ。

 つまり、円安による輸入物価の上昇、電力会社という競争のない独占企業の一方的な値上げ、国内自動車市場の縮小という、悪い材料にしか見えない3つの項目が、4月の物価下落を抑制した原動力なのである。円安は今後も継続する可能性が高く、物価の上昇もそれに続くことになるだろう。仮に円安のメリットが出てくるにしても、国民の生活はそうそう簡単には改善しないと思った方がよい。

 - 社会, 経済 , , ,

  関連記事

usakoyoutoukei201702
良好な米雇用統計で、3月利上げの確率がさらに高まる。資産縮小論の可能性も

 米労働省は2017年3月10日、2月の雇用統計を発表した。代表的な指標である非 …

bafurakisu002
更迭されたギリシャのバルファキス外相。だが本人にとってはメリット?

 ギリシャのチプラス政権は、EUとの交渉チームの顔ぶれを一新した。新しい交渉チー …

shanhai
過大な期待や悲観は無用!中国市場に対する3つの誤解を解く

 近年、日本は中国という存在に振り回される状況が続いてきた。当初は巨大市場に乗り …

kurodasosai
トランプ氏の当選で日米金利が急上昇。シナリオが狂ってしまった日銀

 トランプ大統領の誕生をきっかけに、日米の債券市場で金利が急騰している。米国はす …

caterpilar
世界経済の映し鏡である米キャタピラーの決算。中国景気失速の影響で売上は大幅減

 米建設機械大手のキャタピラーは10月23日、7~9月期の決算を発表した。キャタ …

bukkajoushou
梅雨明けを迎え、金融政策も夏休みモード。重大な決断は秋以降にやって来る

 総務省は2014年7月25日、6月の消費者物価指数を発表した。代表的な指数であ …

nyse03
米国は「日本化」しているのか?FRBエコノミストの見解をめぐって激論

 米FRB(連邦準備制度理事会)は2013年12月18日のFOMC(連邦公開市場 …

ohkizan
米中間の貿易交渉に垣間見る、中国が抱える意外な弱点とは?

 米国ワシントンで開催されていた第23回米中合同商業貿易委員会 (JCCT)が1 …

sangiinabe01
総額5.5兆円の補正予算が可決成立。だが昨年より規模が小さく、効果は限定的

 参議院は2014年2月6日、消費税増税をにらんだ経済対策を柱とする2013年度 …

chusha02
副作用続出で子宮頸がんワクチンの推奨中止へ。なぜ拙速に事は進められたのか?

 厚生労働省は副作用の報告が相次いでいる子宮頸がんワクチンについて、積極的な接種 …