ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

IMFが日本との協議を終了。アベノミクスを評価するも、構造改革とセットにすべきと指摘

 

 IMF(国際通貨基金)は5月31日、経済動向と政策課題に関する日本政府との10日間の協議を終え声明を発表した。日銀が掲げる2%の物価目標については、成長戦略と財政再建がうまく機能すればという条件付きで、十分に実現可能であるとした。また中長期的な成長を実現するには、TPPへの参加、女性の雇用増加、規制緩和といった、いわゆる構造改革が必要であると指摘している。

 IMFは国際機関の中でも自由競争主義的な提言が多いことで知られている。また日本との関係も深く、財務省の意向を反映した見解を示すことも少なくない。
 IMFからの提言を分析する場合には、このあたりを念頭に置く必要がある。ちなみに今回の調査報告は、シフ・アジア太平洋副局長(写真)をヘッドとするチームが5月21日から日本を訪問し、政府高官や日銀、民間部門の代表者と会談してまとめたものだ。

 報告では、日銀の量的緩和策とアベノミクスについて、これが成功すれば、日本だけでなく世界経済にとって非常に有益であると高く評価している。
 足元の経済状況については、個人消費が堅調で景気が回復軌道に乗り始めていると分析、通年で1.6%成長の達成が可能としている(ただ2014年には、消費税が増税されることや、復興支援支出がなくなることなどから1.4%成長にとどまるとしている)。また最近の経済指標は量的緩和がうまく機能し始めていることを示しており、成長戦略と財政改革が適切に実施されれば、2%の物価目標は実現可能であると結論づけている。

 IMFとしての立場を色濃く反映しているのは、成長戦略の柱として構造改革を実施するよう強く求めている点である。TPPへの参加、女性の社会進出、中小企業への過度の支援の廃止、農業やサービス業の規制緩和、硬直化した労働市場の改革など、ここで指摘されている内容は小泉政権の時に議論されたものばかりであり、逆にいうと現在の日本では否定的に評価されているものも多い。
 6月には日本の成長戦略がまとまる予定だが、これらのうちのいくつが実際に安倍政権で採用されるのかは分からない。

 日本側(特に財務省)の意向を反映していると思われるのは、やはり消費税に関する部分である。複数の税率を併存させるやり方は避けるべきと主張しており、軽減税率の乱立について警鐘を鳴らしている。消費税はもっとも効率的な財源であるとし、長期的には税率アップを考慮すべきとも主張している。

 構造改革と増税を強く求めるIFMの見解はともかく、現状の景気が緊急経済対策や復興予算という一時的な財政支出で実現されているのは事実である。日本の労働市場が硬直化しており、これが日本企業の競争力の低下につながっていることも多くの人が認めるところだろう。IMFの主張に対しては、それなりに耳を傾ける価値はあると考えられる。

 - 経済 , ,

  関連記事

yarigai
日本人の仕事に対する満足度が低いという調査結果をどう見る?

 ビジネスマン向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)大手の米リンク …

setsubitousi
需給ギャップが3期連続で縮小。日本経済復活なのか単なるバラマキなのか?

 内閣府は2013年12月16日、7~9月期の日本経済における需給ギャップがマイ …

saka
竹中氏の天敵、日本郵政の坂社長が政府与党からの批判を受け半年で退任

 日本郵政の坂篤郎社長が退任する見通しになったと各紙が報じている。坂社長は昨年1 …

bigben
ロシアと敵対しても金融街へのアクセスを禁止しようとしない英国の高度な戦略

 ウクライナの内政にロシア軍が介入している問題について、米国やEUは部分的な制裁 …

dentaku
家計の金融資産は1798万円で過去最高を更新。引き続き株高が貢献

 総務省は2015年5月19日、2014年における家計調査の結果を発表した。1世 …

wallst02
米独の金利が急上昇。とうとう超低金利時代が終了するサインなのか?

 このところ米国と欧州の金利が急上昇している。極限まで進んでいた低金利に対する一 …

no image
石油で世界制覇を目論むロシア。危険なゲームに乗り出す英国。日本も巻き込まれるゾ!

 ロシアの国策石油会社の存在感が高まっている。  ロシアの国営石油最大手ロスネフ …

sengyoushufu
総務省の家計調査結果に新しい兆候が。日本からとうとう専業主婦がいなくなる?

 総務省は2012年2月19日、2012年の家計調査報告を発表した。サラリーマン …

abe20141117
消費増税延期で衆院解散へ。量的緩和策で当面不安はないが・・・

 安倍首相は衆議院の解散と来年10月に予定されている消費増税の延期を決断した。増 …

shaft01
グーグルによる東大発ロボット企業の買収で危惧されること

 インターネット検索最大手の米グーグルが東大発のロボット開発ベンチャー「シャフト …