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萎む成長戦略。最高裁判断まで出ている薬のネット販売解禁が規制緩和の目玉だって?

 

 アベノミクスの要として市場から多くの期待を集めていた成長戦略の雲行きが怪しくなってきた。大胆な規制緩和を含め、日本の産業構造を大きく変える内容が期待されていたが、細かい各論に終始する可能性が高くなってきた。

 成長戦略には大きく分けて2つの種類がある。ひとつは過剰な政府の規制を緩和し、市場を活性化させるという競争政策的なもの。もうひとつは特定産業企業を補助金で支援したり政府が買い入れを行うという産業支援的な施策である。
 産業の競争力が弱い発展途上国の場合には、特定産業支援型の施策はうまくいくことが多いが、市場の硬直化や産業構造の制度疲労といった問題に直面している先進国型経済では、競争政策の方が圧倒的に効果が高い。アベノミクスに対しても、市場は当然、競争政策型のプランを期待していた。

 だが成長戦略における規制緩和の目玉は、薬のネット販売や石炭火力の環境アセスメント緩和、PFI(民間資金を活用したインフラ整備)など、かなり後ろ向きなものにとどまる可能性が高くなってきた。

 薬のネット販売解禁は、それ自体は評価すべきものであるが、最高裁においてネット販売を禁止した厚生労働省令が違法との判決が出ており、事業者はとっくの昔に薬のネット販売を再開している。むしろ国(厚生労働省)は司法判断を無視して規制にこだわっていたわけであり、これが官邸主導による規制緩和の目玉というのではあまりにも後ろ向きだ(本誌記事「薬のネット販売規制解除へ。最高裁は常識ある判断を下した」参照)。

 石炭火力発電のアセス緩和やPFIも同様である。石炭火力は原発の停止と円安でエネルギー価格が急騰していることから、やむにやまれず決定した措置であり、PFIは何としても公共事業を続けたい国交省やゼネコンの意向を反映したものにすぎない。両者ともむしろ特定産業の保護政策に近い(本誌記事「PFIが成長戦略の中核として急浮上。だがその実態はハコモノの維持」参照)。

 残るは規制緩和特区ということになるが、そもそも特区の設立というプラン自体が多くの問題を内包している。本来であれば、正々堂々と日本全体で規制緩和を行えばよいものを、わざわざ特区という形で地区を限定するのは、抵抗勢力の政治的圧力が大きいからである。また特区を導入しても、結局外資を儲けさせるだけに終わる可能性もある。

 一時は1万6000円台に接近した日経平均は現在1万3000円台まで急落している。今のところは一時的な調整と見なされているが、市場の判断など適当なものである。成長戦略が市場の失望を買えば、日経平均の下落は、成長戦略の失敗を見越したものと後解釈されてしまう可能性がある。そうなってしまうと、その後の株価は手の付けようがなくなってしまうだろう。

 - 政治, 経済 ,

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