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安倍首相が成長戦略第3弾を発表。全体像が見えてきたが市場の失望を誘う内容

 

 安倍首相は6月5日、都内で講演し規制緩和を軸とした成長戦略の第3弾を発表した。今回の発表内容は首相自身が成長戦略の本丸と位置付けていたものであり、市場も大胆な内容を期待していた。
 だが、フタを開けてみれば、薬のネット販売解禁やPFI(民間資金を活用したインフラ整備)など、従来から議論されている内容に終始し、市場からは失望の声も聞かれた。5日の日経平均は成長戦略に目新しさがないとして、前日比519円安の1万3014円で引けた。

 今回の発表で、アベノミクスにおける成長戦略の内容はほぼ出揃ったことになる。
 第1弾から第3弾までの内容を整理すると、成長戦略は基本的に、①日本産業再興プラン、②戦略市場創造プラン、③国際展開戦略という3つの項目で構成されることになる。

 日本産業再興プランの中核となるのは、民間の設備投資の促進である。だが、そのための具体的な施策は、古くなった設備の更新を促す税制措置や、設備値下がりのリスクの一部を国が負担する新しいリース制度の導入などであり、斬新な内容は盛り込まれなかった。

 個人保証制度の見直しや社外取締役の導入推進など、各論としては有益なものもあるが、成長戦略の中核となるようなプランとはいいにくい。
 本来はこの項目の中に雇用規制の緩和が盛り込まれる予定であったが、踏み込んだ内容にはならない可能性が高い。当初、規制緩和の目玉になるかと思われた特区の創設も、内容が後退した印象だ。

 戦略市場創造プランでは医療介護分野の強化がうたわれている。だがこの内容も、すでに最高裁判決が出て既定路線になっている大衆薬のネット販売解禁や、臨床研究を強化するための組織創設といった各論に終始しており、国家戦略と呼べるレベルのものは登場しなかった。このほか、農業強化、ビザ発行条件の緩和、電力システム改革などの項目が並んでいる。

 国際展開戦略は、2018年までに貿易におけるFTA比率70%の実現や、2020年に30兆円のインフラ輸出、中小企業対策などが盛り込まれた。FTA比率70%という目標はそれなりにインパクトがあるが、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への交渉参加が決まっていることを考えると、既成事実の延長線上との印象は否めない。

 成長戦略は、当初、内容を小出しにすることで市場の期待を高めていくはずであった。だが結果として、新しい内容が発表されていくたびに、市場の期待が後退していく状況になっていた。最終的な成長戦略のとりまとめをきっかけに、海外投資家の日本買いがさらに加速するという当初の筋書きは成立しなくなった可能性が高い。

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