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習主席の米国訪問日程が近付く。ささやかれ始めた首脳会談の本当のテーマ

 

 中国の習近平国家主席は、5月31日から6月6日の日程で、トリニダード・ドバゴ、コスタリカ、メキシコの中米3カ国を訪問している。その後6月7日~8日の日程で米国を訪れ、いよいよオバマ大統領との首脳会談に望む予定だ(写真はコスタリカを訪問した習近平夫妻)。

 米国は今回の首脳会談にかなり力を入れている。場所はワシントンではなく、カリフォルニア州のリゾート施設をあえて選択しており、密度の濃い会談が想定されていることをうかがわせる(本誌記事「米中首脳会談が行われるリゾート施設サニーランドとはどのような場所なのか?」参照)。
 会談は2回実施される予定となっており、共同記者会見や夕食会もセッティングされている。首脳会談としてはフルコースの内容といえる。

 会談では北朝鮮問題や中国のサイバー攻撃問題が話し合われるとみられる。
 北朝鮮は5月24日、金正恩第1書記の特使である崔竜海朝鮮人民軍総政治局長を北京に送り、習近平国家主席に金氏の新書を手渡している。24日の会談で中国側は、北朝鮮に対して6カ国協議への参加を促し、北朝鮮がこれを受け入れることを表明している。中国は北朝鮮と米国が独自に2国間交渉を行わないよう、米国を牽制するものと思われる(本誌記事「訪朝した金正恩氏の特使が帰国ギリギリで習近平主席と会談」参照)。

 サイバー攻撃については、米国側がマスコミ報道を用いて中国の脅威を煽っており、中国はこれに反発する姿勢を見せる一方で、電子戦に関する演習を実施するなど、米国に対する挑発も行っている。

 北朝鮮問題やサイバー攻撃問題が米中間における懸案事項であることは間違いないが、これらは今回の首脳会談における表向きの議題であるとの見方がもっぱらだ。首脳会談の真の目的は、米国と中国のアジア太平洋地域における軍事的ロードマップの策定であるといわれている。

 米国は保有する軍事力の多くをアジア太平洋地域に振り向けるいわゆる「リバランス戦略」を進めている。だがこれは中国を敵視して封じ込めるためのものではなく、米国にとって中国は交渉相手という位置付けだ。今後、中長期的には南シナ海と東シナ海の制海権について、米中両国で何らかの妥協が図られる可能性が高い。その第一歩となるのが軍事的ロードマップである。

 すでに、米中間ではロードマップの共同作成について話し合いが持たれており(本誌記事「ケリー国務長官のアジア歴訪。カギとなったのはやはり中国との会談」参照)、今回の首脳会談に先駆けて実施された、ホワイトハウスのドニロン補佐官(国家安全保障担当)による北京訪問でもこの議題が話し合われた可能性が高い。

  尖閣諸島問題は、中国にとっては東シナ海の制海権をめぐる問題であり、最終的な交渉相手は米国という認識を持っている。中国側は米中首脳会談を控え、尖閣問題で妥協の余地があることを匂わせる発言を行っており、場合によっては米国に対して中国から一方的に譲歩案が伝えられる可能性もある。
 ただ中国が主張するところの譲歩とは領有権主張を一時棚上げするというものであり、実効支配権を持っていた日本からすれば、中国側の譲歩を引き出したとは認定しずらい内容だ。

 いずれにせよ、今回の首脳会談は、米中交渉のスタート地点という位置付けであり、今後長い時間をかけて交渉が進められていく可能性が高い。日本にとっては、いかにして当事者としての立場を米国側にアピールし続けられるのかが、カギとなってくるだろう。

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