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35年続いてきた1発勝負の大学受験システムがようやく終了?

 

 政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)は6月6日に開かれた会合から、大学入試改革に向けた議論を開始した。共通一次試験も含めると35年近くにわたって続けられてきた、1回の共通テストで合否を決定する大学受験システムがあらためられようとしている。

 教育再生実行会議は今年の1月からスタートしたもので、これまでのところ、いじめ問題や教育委員会のあり方、大学制度のあり方などについて議論してきた。
 5月には、大学入試へのTOEFL活用、小学校における英語の正式教科化、イノベーション創出人材の育成などを柱とした提言書をまとめている(本誌記事「教育再生会議が英語教育の拡充を提言。だが特定校重点支援という概念には疑問の声も」参照)。6月からは大学入試システムを中心に高校教育と大学教育の接続に関する問題に議論の軸足を移している。

 日本の大学入試は、長年にわたって年1回開催される試験の点数だけで合否を決める方式を採用してきた。日本は学歴社会なので、どの大学を卒業したのかによって生涯年収や社会的地位が大きく変わってきてしまう。
 大学入試が一般化するにつれ、受験テクニックを教える塾産業が成長し、テストでよい点数を取るための競争が激化することになった。また大学側も試験の成績が優秀な生徒を獲得するため、いわゆる一流大学と呼ばれる学校を中心に難解な問題を連発して世間からの批判を浴びた。当時のマスコミでは「受験戦争」という言葉がよく使われていた。
 センター試験はこうした批判を背景に始められたものだが、全国統一の試験としたことで、受験産業の情報化にさらに拍車をかけるとともに、年1回の試験で合否を決めるというシステム自体は何も変わらなかった。

 最近では大学がほぼ全入時代となり、いわゆる受験戦争という批判は少なくなってきたが、ペーパー試験だけで合否を決めてしまうことに対する弊害が多く指摘されるようになってきている。

 会議では、高校在学中に複数回挑戦できる「到達度テスト」の導入を視野に新しい入試制度について議論を行う。到達度テストは年2~3回の実施が想定されており、1回の試験で合否を決める必要はなくなる可能性が高い。
 一方で大学側がペーパー試験の結果だけを合否の判定材料にするという慣行を変えなければ、テストの回数が1回から複数回に増えただけで何の効果もないという指摘もある。

 日本の大学はこれまで長年にわたってペーパー試験の結果だけで生徒を選抜してきており、それ以外の選抜を行うためのノウハウを持つ人材がいないという現実的問題がある。多様な人材を選抜するという趣旨で始められたAO入試も実際にはほとんど機能していない。
 これは企業による学生の採用も同様である。イノベーションを起こせる新しい人材を発掘するといっても、採用する側の担当者のほとんどが、旧来の採用方式で選抜され競争環境に置かれていない人材である。一部の企業を除いては、イノベーティブな人材を選別することは事実上不可能といってよい。

 画一的で時代遅れになっている現在の大学入試システムを改革するという教育再生実行会議の趣旨は評価すべきものといえる。だがこの改革を意味のあるものにするためには、旧態依然とした人材で固められ流動化が進んでいない大学や企業に対して競争を促し、学生や生徒を選抜する側の改革も同時に進めていくことが重要なカギとなるだろう。

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