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株高と円安は終わったのか?カギを握るのは購買力平価による為替レート

 

 日銀による異次元の緩和策以降、順調に進んできた円安と株高にブレーキがかかり始めた。5月23日に1万6000円目前まで迫った日経平均はその後急落、6月6日には12904円で引けた。10営業日で3000円も下げたことになる。為替も株価をトレースした動きになっている。日経平均の急落に合わせて円高が進み、一時は103円を突破していた円は一時95円台まで急騰した。

 6月5日に発表された成長戦略の第3弾は目新しさに欠け、一部の投資家の失望を買っている。
 規制緩和など大胆な改革に期待した外国人投資家が一斉に売りに転じたという説明もなされているが、それは今回の株価下落のひとつの側面にすぎない。
 市場関係者の多くは、アベノミクスへの期待先行で高騰していた株価が、現実の経済情勢に合わせて調整を開始したと理解している。

 これまでの株高を支えてきた要因のひとつは間違いなく円安だが、一方的な円安はそろそろ一服するとの見方が大半だ。米FRB(連邦準備制度理事会)の出口戦略が後退していることもひとつの要因だが、もっとも影響が大きいのは購買力平価による理論的な為替レートに現実の為替レートが追いついてしまったという事実である。

 購買力平価による為替レートは、二国間の物価の違いによって計算される理論的な為替レートである。ドル円相場が変動相場制に移行して以来、現実の為替レートが購買力平価の理論的なレートを超えたことはほとんどない。80年代、米国が意図的に強いドル政策を実施していた時期以外は、すべて理論レートに現実のレートが追いつくと、そのレベルで円高に押し返されてしまっている(図参照)。購買力平価によるレートと現実レートに差があったことが、行き過ぎた円高の根拠とされていたことを考えると、それが縮小してしまった今、円安への圧力は減少することになる。

 もっとも、長期的な円高ドル安が終了し、今後は長期的な円安ドル高トレンドになるというのは多くの市場関係者の一致した見方だ。円安が一服したからといって、今度は極端な円高に振れると見る向きは少ない。だが本格的な円安トレンドがはっきりしてくるのは、日本の物価が現実に上昇を開始し、購買力平価の為替レートが上向きに転換してからになるのかもしれない。

 そのタイミングがいつになるのかは分からないが、日本の物価によりはっきりとした上昇の兆しが出てくれば、先行して為替が円安に動き、株価も歩調を合わせて上昇していく可能性が高い。少なくともしばらくの間は、これ以上の株価下落がなかったとしても、一進一退の状況が続くことになるだろう。

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