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年金運用のポートフォリオが大幅変更に。だが実際には現状を追認しただけ

 

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は6月7日、年金積立金の基本ポートフォリオを見直すと発表した。国内債券の比率を67% から60%に大幅に引き下げ、株式の割合を増やす。これまで10年間変更されていなかった運用方針が大きく変わり、リスク資産へのシフトが進むことになる。
 だが実際には、従来の基本ポートフォリオ(運用方針)とかなり乖離していた現実のポートフォリオに対して、基本ポートフォリオの方を合わせただけであり、現状追認という解釈の方が正しい(図はGPIFが公表している2012年12月末のポートフォリオ)。

 GPIFは2012年10月、会計検査院から運用ポートフォリオについて定期的に検証する必要があるとの指摘を受け、金融・経済の専門家で構成される運用委員会において審議を行っていた。その結果、基本ポートフォリオの変更が必要との結論を得たことから今回の見直しを実施することになった。

 新しいポートフォリオでは、国内債券の比率が67%から60%に引き下げられる一方、国内株式が11%から12%に、外国株式が9%から12%に、外国債券が8%から11%にそれぞれ引き上げられることになった。
 国債は安全資産といわれてきたが、超低金利が続いていることから運用成績が悪化しているほか、日本の財政悪化から国債に偏った運用のリスクも指摘されるようになってきていた。株式は債券よりも期待リターンが大きいが、その分リスクも高い。また外国債は国内債よりも利回りが高いものが多いが、為替リスクを負うことになる。

 年金のような巨額の資金を運用するファンドが、これほどのポートフォリオ変更を一気に行うのは異例である。国債の比率をここまで大胆に引き下げれば、国債市場に大きな混乱が生じさせる可能性がある。だが実際にはその心配はほとんどない。
 新しく設定された基本ポートフォリオは、現実のポートフォリオを追認しただけのものだからである。逆にいうとこれまでGPIFは、基本ポートフォリオから大きく乖離した運用を行っていたことになる。

 ただ、これまで運用方針の見直しをほとんど行っていなかったことを考えると、今後はある程度機動的にポートフォリオの変更が行われることになるかもしれない。ただ当面は、この見直しによる影響はほとんどないと思ってよいだろう。

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