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エアアジアが合弁解消。日本でLCCがうまくいかない理由とは?

 

 アジア最大の格安航空会社(LCC)であるエアアジアとANAホールディングスは、日本国内のLCC合弁事業を解消する。エアアジア本体が保有するエアアジア・ジャパンの株式をANAが買い取り、ANAの100%子会社にする。

 エアアジアジャパンの経営行き詰まりは以前から指摘されており、このような結果になるのは時間の問題であった。同社は当初80%の搭乗率を目標としていたが開業当初から苦戦、60%台という低い搭乗率が続いていた。昨年12月には、開業わずか4カ月で岩片和行社長が辞任し、小田切義憲取締役が新社長に就く人事があったばかり。

 同社の経営不振の原因としては、ネット予約システムの不便さや、旅行代理店ではなく直接販売にこだわった営業戦略のミスなどが指摘されている。
 もちろん個別には様々な要因があるが、それは本質的な問題とはいえない。エアアジアが失敗したのは、国内LCCをどのように位置付けるのかというANAの基本戦略が定まっていないことに最大の原因がある。

 ANAはエアアジアジャパンのほかにも、ピーチアビエーションという別のLCCも保有している。日本ではここ1~2年のあいだに、エアアジア、ピーチ、ジェットスターと格安航空会社が相次いで登場した。だがそれらは戦略的な決定に基づくものではなく、近年、米国、欧州、アジアにおいて格安航空会社が急成長したことに脅威を感じ、慌てて子会社を設立して参入したというのが実態である。
  海外LCCの多くはベンチャー企業であり、大手と競合するビジネスモデルなので何の問題もないが、日本のLCCは、自身が業績を伸ばすと親会社の経営を圧迫するという根本的な矛盾を抱えている。このため、日本のLCCの展開については、多くの市場関係者が当初から懐疑的な目を向けていた。

 エアアジアの業績不振は、この懸念がまさに現実化したものといえる。成田-韓国が980円といった派手なキャンペーン価格が目を引いたが、実際の運賃はそれほど安いわけではない。大手でも格安チケットを探せば同じような水準の運賃はいくらでも見つけることができた。大手よりも不便でサービスが悪いLCCは、びっくりするような低価格でなければ顧客が選択するはずがなく、直販にこだわった同社の搭乗率が悪かったのはむしろ当然といえるだろう。

 また日本は、空港などの施設が官庁の巨大利権となっており、利用料が極めて高いという特徴がある。航空会社はどんなにコスト削減を行っても顧客に安い料金を提示できない構造になっており、大手航空会社で比較しても、日本の航空運賃は国際的に見て異常に高い。
 エアアジアでは情報を開示していないが、諸外国のLCCと比較すると、同社の運行コストは1.5倍以上高かったと推定される。そもそも「破格の安値」を設定すること自体が不可能なのである。

 本来であれば、アベノミクスの成長戦略において、こういった分野の大胆な規制緩和が望まれるところだが、現在の日本にその気配はまったくない。日本の航空市場、航空行政はまさにガラパゴスの典型といえる。
 ANAではピーチとのブランド一本化を検討しているといわれるが、結局のところ親会社の経営を圧迫しない範囲で、相対的に安めの料金を提示するという、曖昧なビジネスモデルしか、日本版LCCが生き残る道はないと考えられる。
 ANAとしては迷走の末、このような戦略に一本化することになると思われるが、消費者にとってそれはよいニュースとはいえない。日本でLCCがうまくいかない最大の理由は航空行政であり、最終的に犠牲になるのは、諸外国に比べてバカ高い運賃を強要される日本の消費者だからである。

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