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空洞化は悪いことばかりではない。海外工場からの利益で4月の経常収支は大幅黒字

 

 財務省は6月10日、4月の国際収支を発表した。最終的な国の儲けを示す経常収支は7500億円の黒字と前年同月比約2倍となった。貿易赤字は前年同月比で赤字が拡大したが、海外への投資から得られる利益が円安によって増加したことでトータルでは黒字となった。日本は製品の輸出ではなく、海外からの投資で利益を得る体質に転換したといえる。

 4月の貿易赤字額は1兆2593年と赤字幅が拡大した。一方で、海外への投資から得られる利子や配当(所得収支)は円安によって前年同月比52%と大幅な伸びを見せた。所得収支の金額は2兆1160億円となり、最終的な国の儲けである経常収支は7500億円の黒字となった。

 実は日本はかなり以前から、投資でメシを食う不労所得の国となっている。貿易による黒字を投資による利益が上回ったのは2004年であり、今から10年も前のことである。
 その後、日本の製造業の競争力が低下し、震災以降は慢性的な貿易赤字が定着している。貿易赤字が増えたことで経常収支も赤字に転じるかと思われたが、円安の効果によって経常収支はプラスを維持しているというのが現状の姿である。

 投資による利益の大半を占めるのが、米国債への投資から得られる利子である。だが最近目立って増加しているのは、工場の海外移転に伴う直接投資から得られる利益だ。国内の工場を閉鎖して海外に工場を作る場合、ほとんどが現地法人を設立することになるが、これは国際収支統計上、直接投資という分類になる。
 海外の現地法人が日本にある本社に支払う利子や配当が円安によって増加したことで、直接投資による利益が前年同月比で3倍以上も増えた。

 確かに工場を海外に移転すれば、工場で確保されていた雇用は失われることになる。だが海外に移転して価格競争力を維持することができれば、その儲けは利子や配当という形で日本に帰ってくる。競争力がないまま国内生産にこだわり、利益が上がらない状態と比べれば、日本が得られるトータルの利益は大きい。工場の海外移転は必ずしもマイナス面ばかりではないのだ。

 だが日本の場合、政府が規制緩和に消極的であることから、国内で新しい雇用が生まれないという問題がある。新しい産業を育成して、失われた雇用の受け皿を作ることが緊急の課題であることを、最新の国際収支統計は示している。

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