ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

三菱重工と日立が火力発電事業を統合。だが肝心の技術でトラブルが続き前途多難

 

 三菱重工業と日立製作所は6月11日、火力発電事業の事業統合に関する基本契約書を締結したと発表した。三菱重工が65%、日立35%出資する新会社を2014年1月1日に発足させ、両社の火力発電事業を切り離して統合させる。現在の両者の事業規模は1兆円強だが、将来的には2兆円の売上高を目指す。

  両者が火力発電事業を統合するのは、同分野で圧倒的な競争力を持つ米GE(ゼネラル・エレクトリック)、独シーメンスという二大メーカーに対抗するためである。
 両社の火力発電部門の売上げはそれぞれ約2兆円の規模があり、三菱と日立が従来のように単独で事業を行っていてはまったく太刀打ちができない。両者を統合してもまだ半分の規模しかなく、生き残るためには統合以外に選択肢がなかったという方が正しい。

 重電分野に限らず、日本メーカーは国際的に見てあまりにも規模が小さいところが多い。日本国内では巨大企業として認識されていても、グローバルでは中小企業でしかない企業が多すぎるのだ。
 さらに問題なのが、規模で太刀打ちできないだけでなく、肝心の技術力が米国やドイツと比較して劣化していることだ。

 実は日立の発電用タービンにはこのところ致命的なトラブルが相次いでいる。発電技術の要であるタービンのブレード(羽)が折れたり欠損が発生する事故が多発しているのだ。中部電力の上越火力発電所では、ブレードが折れる事故が2回も連続して起こっている。
 三菱側も安泰ではない。カリフォルニア州にあるサンオノフレ原子力発電所は、三菱重工が納入した蒸気発生器がトラブルを起こし解決のメドが立たないとして、同原子炉を廃炉にすると発表した。蒸気発生器に異常な摩耗が発生しているという。同原発は三菱重工側に損害賠償請求をする構えだ。
 こちらは原子力部門のトラブルだが、火力部門の統合は将来的な原子力部門の統合を視野に入れたものといわれており、無関係とはいえない。

 両社は各トラブルの原因解析や今後の対策に追われている状況であり、両者の事業統合後、最初の共同作業はトラブル処理という皮肉な結果となっている。

 日本国内では「技術では勝ったが、商売で負けた」という例えがよく使われている。だが製造業は商売のテクニックだけで勝てるほど甘い世界ではない。製造業で競争力がないということは、最終的には技術力で劣っているからである。このことは、日本のモノ作りを支えてきた両社の技術者が一番よく分かっているはずだ。
 GEとシーメンスの背中は遠いが、着実に技術で巻き返しを図っていくしか方法はない。その意味で今回のトラブルは新会社にとっての試金石になるといえるだろう。

 - 経済 , , , ,

  関連記事

dendokogu
法人向けアマゾンビジネスの最終目標はアスクルではなくモノタロウ?

 これまで個人の利用者を主なターゲットとしてきたアマゾンが、いよいよ法人向けのサ …

no image
韓国企業が相次いで中国内陸部に巨額投資。しかも土地はタダだって!

 韓国が中国内陸部への投資を加速している。  韓国のサムスン電子が陝西省西安に7 …

shutoko
笹子トンネル事故が、抑制されてきた公共事業再開の大義名分になる可能性

 中央自動車道の笹子トンネル事故をきっかけに、これまで抑制されてきた公共事業がな …

takenaka
竹中氏と三木谷氏が突如反乱?産業競争力会議が安倍政権のアキレス腱に?

 これまで官僚主導で予定調和的に進んできた政府の産業競争力会議の雰囲気が変わって …

tosho05
個人投資家向けの優遇税制(日本版ISA)が前途多難な状況

 小口の個人投資家向け優遇税制である日本版ISA(少額上場株式等に係る配当所得及 …

abe20140220
政府内部で法人税減税の議論が始まる。問題の本質は課税ベースの拡大にあり

 政府内部で法人減税に関する具体的検討が始まった。経済財政諮問会議2014年2月 …

yamatochina
ヤマトの新しいサービスは、日本のネット通販の中国販路拡大に寄与するか?

 宅配大手のヤマトホールディングスは2014年3月24日、日本のネット通販事業者 …

son
ソフトバンクの孫社長が次々と巨大豪邸を建設。その真意は?

 ソフトバンクの孫正義社長が、最近次々と豪邸を建てている。短期間に3つも豪邸を建 …

nyse03
ダウがとうとう1万7000ドルの大台を突破。今後は利上げをにらんだ駆け引きに

 ダウ平均株価が2014年7月3日、とうとう1万7000ドルの大台を突破した。同 …

putinkuremia
思いのほか苦境にあるロシア。今回の一連の外交はいわゆる「弱者の戦略」

 ロシアによるクリミア併合プロセスが着々と進んでいる。表面的には軍事力を前面に押 …