ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

設備投資が回復せずアベノミクスは完全に手詰まり状態。原点回帰しか方法はない?

 

 内閣府は6月12日、4月の機械受注統計を発表した。民間設備投資の先行指標といわれる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)が前月比8.8%のマイナスとなった。

 今回の期待受注統計は多くの市場関係者が注目していた。というのも前回3月の統計では、同指標が前月比14.2%という大幅増となっていたからだ。
 アベノミクスが提唱されて以降、円安と株高が順調に進み、特に株高の影響から富裕層を中心に、個人消費が堅調に推移してきた。だが日本の経済の根幹といわれる製造業の設備投資は低迷したままで、このことがアベノミクスに対する不透明感を払拭できない原因となっていた。
 3月における受注額の増加率は2005年4月以降最大であり、4月以降も同様の傾向が継続すれば、設備投資の回復が本格化したことを示す有力な材料となるはずだった(本誌記事「日本企業の設備投資がとうとう底入れ?3月の機械受注は大幅増加に」参照)。

 だが残念なことに4月の結果は大幅なマイナスとなり、前回の上昇分の多くを打ち消してしまった。緩やかな回復トレンドは維持した格好だが、個人消費と円安に刺激されて設備投資が急回復するというシナリオは成立しにくくなってきた。

 もっとも足元では景気の回復を示唆する指標が相次いでいる。消費動向調査による消費者心理は5カ月連続のプラス、法人企業景気予測調査による国内景況感は調査を開始した 2004年以来最大となっている(本誌記事「景気回復を示す指標が相次ぐ。ただ先行指標は踊り場入りを示唆?」参照)。
 だが肝心の設備投資が回復しない状況を考えると、足元の景気が比較的好調な理由は以下の2つと考えられる。ひとつは株高によって富裕層の消費が増加し、そのムードが中間層にも波及したこと。もうひとつは10兆円の大型補正予算による財政出動の効果である。だが両者には時間的限界があり、永続的に効果を得られるものではない。

  これまで断続的に発表してきた成長戦略が市場から評価されておらず、アベノミクスは現在、完全に手詰まり状態にある。
 日本のデフレの原因は構造的問題であり、金融政策だけで経済成長を実現できないことは周知の事実である。かつての安倍政権は、構造問題の解決を前提にスタートしたものの、途中で政策を転換してしまった経緯がある。ここは基本に立ち返り、規制緩和を中心とした本来の競争政策をコツコツと実施していくしか状況を打開する方法はなさそうである。

 - 経済 , ,

  関連記事

nichigin02
円安をめぐって日銀と政府・財界に温度差。追加緩和か物価目標修正か?

 急激に進む円安をめぐって、日銀と政府・財界に温度差が出てきている。今後の金融政 …

jutakuchuko
既存の住宅インフラを活用する動きが活発化。試される成熟国家「ニッポン」

 既存の住宅インフラを活用する動きが活発になっている。日本はすでに成熟型経済に移 …

taxi
3月の景気ウォッチャー調査は5カ月連続で上昇。中小企業はまだそれを実感できない?

 内閣府は4月8日、3月の景気ウォッチャー調査(街角景気)の結果を発表した。景気 …

nyse03
ダウがとうとう1万7000ドルの大台を突破。今後は利上げをにらんだ駆け引きに

 ダウ平均株価が2014年7月3日、とうとう1万7000ドルの大台を突破した。同 …

hamada
浜田内閣参与の増税延期発言によって明らかなった、異次元緩和の波及メカニズム

 安倍首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一米エール大名誉教授が、2014 …

nihonkeizai02
4~6月期のGDPは予想外に個人消費が健闘。持続的な拡大局面に入れるのか?

 内閣府は2017年8月14日、2017年4~6月期のGDP(国内総生産)速報値 …

facebookhead
グーグルとフェイスブックが好決算。ただ、従来路線の延長で目新しさはなし

 ネット企業大手のグーグルとフェイスブックが共に好決算を発表した。ただ両社とも収 …

abe20141117
消費増税延期で衆院解散へ。量的緩和策で当面不安はないが・・・

 安倍首相は衆議院の解散と来年10月に予定されている消費増税の延期を決断した。増 …

shanhai
中国の高度成長は完全に終了。だが「市場」として有望なのは、むしろこれからだ

 中国国家統計局は4月9日、3月の消費者物価指数を発表した。前年同月比で2.1% …

bouekitoukei201401
1月の貿易赤字が何と倍増。最大の原因は輸出不振であってエネルギー問題ではない

 財務省は2014年2月20日、1月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し …