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全国で土地が余っている。都市部への人口集中を前提にした政策に舵を切る時期に

 

 政府は6月11日、平成25年版の「土地白書」を閣議決定した。人口の減少と高齢化の進展で使われない土地の増加が顕著になっており、土地が余っている実態が浮き彫りになった。

 日本では、宅地資産の約60%が高齢者によって保有されており、その資産総額は約530兆円にものぼる。少子高齢化が進んでいくと、現在の子育て世代が住宅を購入しても、その後、相続によってさらに不動産を取得する可能性が高くなる。収益性の高い資産であれば問題ないが、そうでない場合には、有効活用されない不動産が増加することになる。

 実際、その傾向はすでに顕著になってきており、自身が居住している以外の不動産に関して利用状況を尋ねた調査では「未利用である」との回答が約3割に達している。今後相続する可能性がある土地についても「利用する予定はないと」の回答が3割強となっている。
 全国の自治体に対して行ったアンケート調査では、人口が減少している市町村では、空き地が増加している割合が高いという結果が出ている。

 かつて日本では「国土が狭いので土地は貴重品である」といわれ、皆がこぞって土地の購入を希望していた。だが実際には土地の高度利用が進まなかっただけで、土地の絶対量が少ないわけではなかったのである。住宅を建設すれば、業者も儲かり、手っ取り早くGDPの数値も上がるという背景があり、安易な宅地開発が官民一体となって推奨された。

 結果として残されたのは、質が悪く永続居住ができない住宅と収益性の低い土地ばかりであった。国土交通省ではこういった土地の有効活用を促進する政策が必要と指摘しているが、同省の意向とは裏腹に、この状況が改善される見込みは少ない。放棄される土地はさらに増加し、都市部への人口集約はさらに進んでいく可能性が高い。

 若年層を中心に、国民はこの状況を敏感に察知している。土地は預貯金や株式に比べ有利な資産と思う人の割合は過去最低(32.9%)となり、そう思わないと回答したの割合(37.2%)を4年連続で下回った。持ち家を希望する回答が12年ぶりに8割を切る一方、「借家でも構わない」との回答は12.5%と過去最高を記録している。土地が有り余っていることを考えると、これは当然の結果ともいえる。

 従来の安易な土地政策、住宅政策のツケともいえるが、この期に及んでそれを指摘したところで何も始まらない。有効活用されない土地への対策も重要だが、もっとも必要とされているのは、土地が余ることと、都市部への人口集中が不可避であることを大前提にした、土地の高度利用政策である。
 年金の受給開始年齢が遅くなることは確実であり、多くの国民が生涯働き続けないと生活できない状況になりつつある。住宅環境が劣悪にならないよう、コンパクトだが質の高い賃貸住宅を整備するための施策が必要である。

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