ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

国連の世界人口予測が示す、中国の失速と米国の躍進。総人口ではアフリカが急進

 

 国連経済社会局は6月13日、世界人口展望の最新報告を発表した。それによれば、現在約70億人の世界人口は、2050年に96億人、2100年 には109億人に達するという。

 地域別では現在40億人の人口を擁するアジアが将来にわたって最大人口を維持するが、2050年の50億人強をピークに減少に転じることが予測されている。
 一方、現在10億人程度のアフリカは2100年には4倍の40億人に達する見込み。2100年における世界の総人口の約90%がアジアとアフリカの2地域で占められることになる。

 国別の絶対数では中国とインドが突出しているが、今後の推移は両国で大きく異なっている。中国は2030年の14.5億人をピークに急激に減少に転じる一方、インドは2060年頃まで人口の増加が続く。先進国は総じて人口の減少もしくは横ばいが続き、日本は2100年には8500万人を切ってしまう。唯一の例外は米国で、現在3億強の人口は増え続け、2100年には4.6億人に達する。

 人口は他の多くの統計の中でも予測の確実性が高いことで知られている。また経済成長のかなりの部分が人口で決まってしまうことから、人口の予測はそのまま経済成長の予測と考えることもできる。この人口予測が示しているのは、米国と中国の相対的な関係の変化である。

 これまで中国は米国に対して追いかける側であり、米国は経済的、政治的にも追われる立場であった。だが中国の人口が急激にピークアウトし逆に米国の人口が順調に増加するということは、再び米国が有利な立場に立つことを意味している。絶対数ではインドやアフリカの影響は大きいが、1人あたりの経済規模が小さいことを考えると、米国の優位性が際立つ。

 一方、日本の環境は極めて厳しいことがわかる。経済成長の3大要素のひとつである人口が急激に低下するということは、残りの2要素(資本とイノベーション)をよほど強化しないと、従来の成長は維持できないことを示している。少なくとも従来の延長線上に立つ考え方や努力水準では、同じ成長を維持することはできないと考えた方がよいだろう。

 ちなみに報告書における人口予測は、今後の合計特殊出生率によって大きく変化する。報告書は複数の出生率を基にいくつかのシナリオを作成している。2100年の総人口は、最も少ないケースでは68億人になり、もっとも多いケースでは166億人になる。109億人は中間値を用いたシナリオである。

 - 社会, 経済 , ,

  関連記事

kokusaishushi201410
国際収支は円安による投資収益の拡大で改善傾向。日本は成熟国への道を歩む

 日本の国際収支が円安によって改善してきた。期待されていた輸出の回復によるもので …

davinchi
米国で手術ロボットの事故が増加。だがロボット導入の動きはもはや止められない?

 米国では外科手術にロボットを使用するケースが急増している。手術に革命を起こすと …

mitsubishi201601
三菱重工に異変?大型客船の巨額損失に続いて、今度は国産ジェットで4度目の納入延期

 日本のもの作りを象徴する企業の一つである三菱重工で、相次いで異変が起こっている …

senryomap
福島原発80キロ圏内外の放射線量マップ。1年で40%の減少は多いのか少ないのか?

 文部科学省は3月1日、東京電力福島第1原発から半径80キロ圏内外で測定した昨年 …

no image
フィリップスのAV機器事業部を買収した船井電機ってどんな会社?

 船井電機は29日、オランダの電機大手フィリップスから、AV機器事業を買収すると …

summly
まさに地殻変動!16歳のIT少年が簡単に1億円を集め、28億でYahooに技術を売却!

 米Yahooは2013年3月25日、ニュース要約アプリ「Summly」を買収す …

kyouikusaisei
35年続いてきた1発勝負の大学受験システムがようやく終了?

 政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)は6月6日に開かれた会合から …

monhiru
公的年金の損失5兆円は株価を考えれば妥当だが、本当にリスク運用でいいのか?

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2016年7月2 …

seiyujo02
政府による上からの構造改革がスタート。弊害はないのか?

 茂木経済産業大臣は2014年6月10日、石油業界の再編を促すため、産業競争力強 …

obama00002
財政の崖をギリギリで回避。だがマーケットはとっくに織り込み済みで驚きはなし

 オバマ大統領と与野党の指導部は、いわゆる「財政の崖」の回避に向けた協議でほぼ合 …