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インフレによる不満から大規模デモとなったブラジル。アベノミクスの悪いシナリオを暗示?

 

 サッカーのコンフェデレーションズ杯が開催されているブラジルで、公共料金の値上げやワールドカップ開催に伴う政府の無駄遣いを批判する大規模なデモが発生している。市民約30万人が参加しているといわれ、過去最大規模に発展している。
 ブラジルは言わずと知れたサッカー大国である。その国民がワールドカップ開催に関連して抗議するというのは異例の事態であり、状況の深刻さを物語っている。

 ブラジルはこれまで驚異的な経済成長を実現してきており、新興国のリーダー的存在であった。だが最近は成長率の低迷とインフレに悩まされており、国民の不満は高まっていた。

 ブラジルの2010年における実質GDP成長率は7.5%だったが、2012年は0.9%と大幅にダウンしている。だがインフレ率は5~6%台で推移しており、インフレによる弊害が目立つ状況になってきている。

 ブラジルはインフラ投資を主体とする中国とは異なり、基本的に消費主導で経済成長を実現してきた。GDPに占めるインフラ投資の割合は低く、新規投資を抑制している日本と同じ20%程度の水準しかない(中国は40%台が続いていた)。
 ルセフ大統領は公共支出の増加、最低賃金の引き上げ、銀行に対する融資拡大の要請など、消費を強化することで成長を促進させる政策を実施してきた。当初はこれがうまく機能してきたが、インフレが顕在化していくると、今度は価格統制でこれを抑制しようとした。だがその政策もそろそろ限界に達しているというのが現状の姿である。

 ブラジルの公共輸送機関の運賃はすでに最低区間で150円程度になっている。1人あたりのGDPが日本の4分の1程度しかないことを考えるとこれはかなり高い。確かに容認できる水準ではなくなっているといえるだろう。
 政治家や官僚の腐敗、警察による人権侵害など、これまで経済成長で覆い隠されてきた負の側面が一気に顕在化しているという面もある。

 進むインフレを抑制するためには、金融引き締めは必須であり、経済成長には確実にマイナスとなる。国民からの不満はさらに高まる恐れがあり、現状では八方ふさがりの状況といってよい。

 国家資本主義的なスタンスで、消費主導型の成長を目指したブラジルの経済政策は、アベノミクスにも一部通じるところがある。安倍首相もこの点は理解しているようで、減税による設備投資の増加や規制緩和の促進を重視する姿勢も見せている。だがこれらの政策については反対意見も根強く、スムーズに事が進むかは定かではない。

 先進工業国である日本とブラジルは産業基盤の水準が異なり両国を単純に比較することは危険である。だが、日本が規制緩和と設備投資の回復に失敗した場合、ブラジルのような状況に陥る可能性はゼロではない。ブラジルの事例を教訓にして、市場機能を回復させ、悪いインフレを回避することができるのか?アベノミクスはまさにこれからが正念場である。

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