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安倍首相が官僚人事で主導権を発揮。だが村木氏の次官抜擢には疑問の声も

 

 安倍政権が官邸主導人事の目玉として掲げた官僚人事が思いのほか不発となっている。
 外務省の事務次官には、北朝鮮強硬派で安倍氏に近いとされる齋木昭隆外務審議官が就任する。また厚生労働省の事務次官には、村木厚子社会・援護局長を充てる。旧厚生省と旧労働省のたすきがけ人事の慣例では、今回は厚生省側からの登用となるはずだが、安倍氏の強い意向で旧労働省出身の村木氏が就任する。

 特に村木氏の就任には「女性登用」と「再チャレンジ」を掲げる安倍首相の意向が強く働いたと言われている。だが女性登用はともかく、村木氏を官邸主導人事の目玉にするというセンスには一部から疑問の声が上がっている。
 村木氏が官邸主導人事の象徴というのは、村木氏が2009年に発生した郵便不正事件で逮捕されたものの、その後の裁判で無罪が確定し、復職したことを指していると思われる。

 確かに村木氏は無実の罪を着せられ、多大な精神的、肉体的苦痛を味わったことは想像に難くない。だが郵便不正事件では事件発生当時課長であった村木氏の部下(当時係長)には有罪判決が下されている。職員の痴漢といった個人的な不祥事ではなく、組織的な汚職事件として部下が逮捕され、有罪判決が下っているのである。一般社会の常識で考えれば、直属の上司で全権限を持っていた村木氏には、刑事的な責任はなくても、職業人としての責任は当然発生する。

 例えば、民間企業において手抜き工事や成分の不正表示事件といった不祥事があり直属の部下が有罪になったとしよう。本人が無罪だったからといって、事件とは無関係で済ませられるだろうか?そうはならないだろう。それどころが、世間からは悪徳企業との罵声が浴びせられ、その後社長に昇格することなどはもちろんのこと、会社に在籍し続けることさえ難しいだろう。だが村木氏は形式的な訓告処分になっただけで、組織トップまで上り詰めたのである。

 もっともこの事件の背景には、検察の強引な取り調べや調書の捏造など、深い闇が横たわっている。司法判断が下っているとはいえ、事件の存在そのものに対する疑念の声も根強い。だがそれを前提にしたとしても、犯罪者を出した事件の責任者であった過去は簡単にぬぐい去れるものではない。

 村木氏が無罪判決を勝ち取った際には、検察への批判からか、マスコミは村木氏を一斉にヒーロー扱いした。だが今回の人事が、こうした村木の立場を利用し、検察の今後の活動に対する萎縮を狙ったものであるとするならば、それはまた別の問題を引き起こしかねない。少なくとも村木氏が「再チャレンジ」の象徴でないことだけは確かだろう。

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