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10億の報酬をもらうゴーン氏。だが仏本国では世論に配慮し少額しかもらっていない

 

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は6月25日に開催された株主総会で、2013年3月期における自身の役員報酬が9億8800万円と前年とほぼ同額だったことを明らかにした。今期の上場会社役員としては最高額となる可能性が高い。

 ゴーン社長の役員報酬をめぐっては、これまでも賛否両論があった。グローバル・スタンダードにふさわしい報酬を考えれば妥当であるという意見と、日本の常識で判断すればもらい過ぎであるという意見が対立しているというのが、基本的な図式といえるだろう。

 株主価値の最大化のためには、高額な報酬も必要という考え方には一定の説得力はあるのだが、ゴーン氏がその例としてふさわしいのかは少々疑問である。
 というのも、ゴーン氏はフランスで親会社ルノーの会長も兼務しているのだが、本国では世論に配慮して高額報酬を受け取っていないからである。本国で受け取れない分を、日本でカバーしている面が大きく、少なくともゴーン氏をグローバルスタンダードの例として取り上げることは議論をミスリードしてしまう可能性がある。

 フランスでは日本と同様、経営者の高額報酬が社会問題となっており、公社については法律で報酬が制限されている。また民間企業の経営者にも同様の制限を課す動きが高まっており、各社の経営者は自由に高額報酬を受け取れる雰囲気ではない。

 ゴーン氏も同様で、実は同氏はフランスではわずかな役員報酬しか受け取っていない。2011年ゴーン氏は総額で1270万ユーロ(15億6000万円)の報酬を受け取ったが、その多くは日産からのものである。2011年はルノー本体から280万ユーロ、2012年は289万ユーロしか受け取っていないのだ。
 つまり本国では到底許容されない高額報酬を、東洋の子会社である日産からもらっているという図式なのである。しかもゴーン氏は、フランスにおいて労働組合に対し、労働時間の延長と賃金の凍結を受け入れてもらう代わりに、自身の役員報酬の受け取りの延期まで申し出ている。日本でのイメージとは異なり、組合に対してかなり甘い経営者なのだ。

 株式会社の原理原則を考えれば、役員報酬を決める最終権限を持つのは株主である。だが会社が巨大化し、株主が分散する状況では相対的に経営者側に有利になってしまう。
 株主が本当に高額報酬を認めているのであれば、社外の人間がとやかく言う話ではないのかもしれない。だが、多くの株主の声が経営に反映されていないことによって高額報酬が成立しているのだとすると、それは改善されるべき問題といえるだろう。

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