ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

ミャンマーの携帯電話事業で日本は落選。中東の通信会社を選定したしたたかな戦略

 

 ミャンマー政府は6月27日、同国における携帯電話事業への新規参入選定において、ノルウェーのテレノールとカタールの国営通信会社カタールテレコムの2社が事業免許を獲得すると発表した。日本からは住友商事・KDDI連合と丸紅・フランステレコム連合が申請していたが落選した。ただ、丸紅陣営については、決定した2社が辞退した場合の補欠として選定されている。

 テレノールについては予想通りという見方が一般的だが、カタールテレコムが選定されたことは、現地でも驚きの声が上がっている。
 欧米各国を相手にしたたかな交渉を行うことで知られるミャンマーだが、今回の選定はその特徴があらためて浮き彫りになった形だ。

 ミャンマーは6000万人の人口を抱えているが、電話の普及率が10%程度しかなく、最後の巨大市場といわれている。12の事業連合がこの市場を狙って争っていた。
 テレノールはタイやバングラディシュなど新興国で事業を展開した実績があり、豊富なノウハウを持つといわれている。一方カタールテレコムは9100万人の利用者を持つ中東の巨大通信会社だが、ミャンマーでの知名度はほとんどなかった。ただ同社はミャンマー市場に対して150億ドル(約1兆4700億円)の巨額投資を行うことを表明しているほか、1万の基地局を設置して、2年で人口の90%をカバーするという大胆なプランを提示している。このあたりが高く評価されたものと考えられる。

 中東の会社が選定された背景には、ミャンマーのしたたかな外交戦略があるとの見方も出ている。ミャンマー(旧ビルマ)は、太平洋戦中、アジア各国で唯一、日本と深い同盟関係を結んでいた国である。その背景には日本に対する感情もあるが、それよりも日本との関係を欧米各国(特に英国)に対する牽制球にしたいというミャンマーの外交戦略がある。

 英国が、近代ビルマ建国の父といわれ暗殺されたアウンサン将軍の娘(アウンサン・スー・チー氏)を引き取り、教育を施してミャンマーの反政府運動のリーダーとして送り込んだ背景には、こういった歴史的な経緯がある。
 今回ミャンマーは欧米主導で民主化と経済開放を進めているが、中東の国策会社を選定することによって、ミャンマー側の主導権を確保しようという思惑があると考えられる。ミャンマーは最後のフロンティアと呼ばれているが、市場の攻略は一筋縄ではいかないようである。

 - 政治, 経済 , ,

  関連記事

minpaku
民泊法案が今国会で成立の公算。年間日数制限でビジネス目的は困難に?

 住宅の空き部屋を旅行者などに有料で貸し出す、いわゆる「民泊」の解禁を目的とした …

suga20140204
今回の株価下落はアベノミクス失望売りなのか?という議論が不毛である理由

 ここ数日、株価が急落していることについて、アベノミクスに対する失望が原因なのか …

chousahogei
調査捕鯨中止の判決は、ムラ社会型日本外交の完全な敗北

 国際司法裁判所は2014年3月31日、南極海で行われている日本の調査捕鯨を中止 …

nichigin04
家計の金融資産は1700兆円を突破。株式は3年で2倍になった

 日銀は2015年6月29日、1~3月期の資金循環統計を発表した。3月末の家計に …

hikouki2014
スマホのバッテリーを切らすと飛行機に乗れない?米国の新保安体制

 バッテリー切れになると飛行機に乗れない。そんな悪夢が現実になろうとしている。米 …

kokintou
中国共産党大会が無事に開幕。今後の胡錦濤氏の立場はある程度担保された

 相次ぐ権力闘争で日程が延期され、クーデター発生説まで取りざたされた中国の政権交 …

pfi
PFIが成長戦略の中核として急浮上。だがその実態はハコモノ行政の維持

 政府の成長戦略における中核的プランとして、民間資金を活用したインフラ整備(PF …

ieren03
イエレン議長が1期で退任の可能性が高まる。後任によってはリスク要因にも

 米FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長が2018年2月に1期で退任する公 …

okane201407
最低賃金は16円引き上げで780円に。生活保護との逆転現象は解消

 最低賃金の引き上げについて議論していた厚生労働省の審議会は2014年7月29日 …

laferrari
景気低迷でもフェラーリやランボルギーニの限定モデルが飛ぶように売れるワケ

 世界経済の回復を先取りしているのか、欧州で超高級車が飛ぶように売れている。イタ …