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中国メディアの報道から垣間見える新疆ウイグル自治区の治安維持の現状

 

 中国の新疆ウイグル自治区は、人口の大半がイスラム教徒のウイグル族で占められており、一部の住民は中国による統治に反対している。中国当局はは反政府活動に対して厳しい姿勢で臨んでおり、反政府勢力との間でたびたび衝突が起こっている。
 2009年には大規模な衝突があり200人以上の死者を出したほか、今年に入ってからも4月と6月に警官隊と住民の衝突事件が発生している(本誌記事「新疆ウイグル自治区でまた衝突が発生。取材制限で実態は闇に包まれたまま」参照)。

 中国当局は、治安維持のため特別な地域警備体制を敷いている。同地域は外国人ジャーナリストが自由に取材できる環境ではないが、中国メディアの報道からその様子をある程度は伺い知ることができる。

 自治区の中心都市であるウルムチでは、公安当局と武装警察が一体となり、市内を600以上の単位に分けて管理している。また750のパトロール・コースを設定し、常に巡回警備を実施しているという。
 また住宅地域でも、60世帯を1つの単位として集団を形成し、内部に反政府活動を行っている人物がいないか相互監視するシステムを導入している。詳細は明らかではないが、日本が戦時中に導入していた「隣組」の制度に近いものと考えられる。
 隣組は、国家総動員体制の元で導入された制度で、10世帯程度を1つの単位としてグループを形成し、物資の配給や空襲からの避難などを行うものである。また民主主義者や戦争反対者に対する相互監視、密告システムとしても機能していた。隣組制度は戦後に廃止されたが、現在の町内会や回覧板はこの制度の名残である。

 新疆ウイグル自治区で最近発生した衝突事件では、ある住民が武器を隠し持っているとの通報がきかっけになったといわれている。当局側から見れば、こうした相互監視システムが効果を上げているということになる。

 中国はかつては共産国家としての色合いが強く、各地で住民による相互監視システムが導入されていた。だが最近では経済的に豊かになり、人口の流動化が激しくなったことや、民主的な意識が高まってきたことから、都市部ではかつてのような監視は行われていない。
 ただ当局の影響力が強い中国メディアにおいて、あえてこうした報道が実施されているということは、国民に対して一定程度の警告という意味が含まれていると考えられる。

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