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韓国で個人負債増加が政策課題に急浮上。日本も他人事ではないかもしれない

 

 以前から家計の負債増加が指摘されていた韓国で、この問題が政策的な重要課題に浮上しつつある。家計部門の負債が1000兆ウォン(約87兆円)に迫る状況になったことを受けて、韓国の国会では、個人負債に関する聴聞会を開催した。出席した政府側の担当者は、危機的状況ではないとしながらも、深刻に受け止めているとして、懸念材料のひとつとなっていることを認めた。

 韓国の家計負債はここ10年で2倍に増加しており、GDPの成長率を上回っている。
 韓国のGDPに対する家計負債の割合は約90%であり、米国や英国など比べると低く、日本よりも若干高い程度である。
 だが先進国の多くが住宅保有に伴うローンの残高が負債の大きな割合を占めているが、韓国の場合は必ずしもそうではないところに問題がある。

 韓国では賃貸住宅に住む人もローンを組まざるを得ない状況に陥るケースがある。
 韓国では、日本や欧米で一般的な、月ごとに賃借料を払う通常の借家以外に、数年から10年分の家賃を一括して前払いし、退去時に差額を返済してもらうう「伝貰」という方式が普及している。これは韓国国内で十分な不動産金融システムが整備されていないことから普及した制度で、日本も戦後の貧しい時期には同様のシステムが存在していた(本誌記事「不況なのに家賃高騰?経済が低迷しつつある韓国で奇妙な現象が発生する理由とは?」参照)。
 月あたりの家賃が数万円の物件に入居する場合でも、場合によっては数百万円の資金が必要となる。社会的、経済的に優遇されている一部の大企業の社員以外はノンバンクからの融資や地縁血縁からの援助に頼らざるを得ないという実情があり、韓国社会の閉鎖性の大きな要因にもなっている。

 このように資産の形成を伴わずに負債が増加しているケースでは、一旦景気が低迷すると破産者が続出するという事態にもなりかねない。景気の不透明感が増している中、韓国政府も真剣に対策を検討し始めている。

 日本は幸いにして高度成長時代に蓄積した豊富な資本があり、20年続く不況にもかかわらず、このような事態には陥っていない。
 だが大企業に正規雇用される一部のサラリーマンや公務員以外は事実上銀行融資から締め出されていたり、親類縁者からの非公式な融資や援助でがんじがらめになっているケースが見られるなど、閉鎖的な韓国社会との共通点も多い。少なくとも個人の中で権利や義務が完結している欧米のシステムとはだいぶ異なっている。

 現在の若年層の世代が中高年になった時に、現在の中高年と同様の資産形成が出来ている可能性は低く、日本も徐々に負債の割合が増加していくかもしれない。個人負債がマクロ経済に影響を及ぼし始めている韓国の状況は、日本にとっても他人事ではない。

 - 社会, 経済 , ,

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