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エジプトで軍主導の暫定政権がスタート。背後に控える米国の動向が今後のカギに

 

 混乱が続くエジプトで、軍部はモルシ大統領を解任、7月4日にはマンスール最高憲法裁判所長官が暫定大統領に就任した。政権を失ったムスリム同胞団は徹底抗戦の構えを見せているが、同団体の関係者300人がすでに拘束されているという。

 エジプト情勢の今後のカギを握るのはやはり米国の動向である(写真はエジプト情勢について議論するオバマ大統領)。
 エジプトは1952年にクーデターでナセル大統領が就任して以来、ムラバラク政権が崩壊する2011年までずっと軍事政権が続いてきた。
 エジプトにおける軍の存在は絶大であり、軍事面にとどまらず日常的な経済活動にも大きな影響を及ぼしている。軍が経営する事業は無数にあり、独自ブランドのミネラルウォーターまで製造販売している。一説には経済の4割近くが軍に関係しているともいわれる。

 エジプトは米国における中東政策の要であり、米国はムバラク政権に多少の人権侵害などがあっても、基本的に政権を支持してきた。だがムバラク政権の末期には、必ずしも米国の意向に沿わなくなってきた同政権に嫌気が差し、民主化運動を背後で支援するようになっていた。ところがアラブの春によってムバラク政権は倒れたものの、結果的に誕生したのは反西欧色の強いイスラム政権であった。ムバラク政権を崩壊させ、親米的な民主政権を樹立させようとした米国の目論見は完全に外れてしまったのである。

 米国は、現在でも年間15億ドル(約1500億円)の軍事支援をエジプトに対して行っており、基本的にこの支援を停止するつもりはない。米国が今回の軍部による政権掌握をクーデターと呼ばないのは、米国の法律で独裁政権には軍事援助ができない決まりになっているからである。

 米国としては、現在、エジプト軍と協力関係にあると思われるエルバラダイ元国際原子力機関事務局長(ノーベル平和賞受賞者)など、西欧社会に知名度のある人物が選挙で大統領に選ばれ、従来からのエジプト軍との関係が継続することを望んでいると思われる。
 エジプト軍もそのような形であれば、軍部の権限が維持されたまま、見かけ上は民主的な政権を樹立することができる。

 結局は、元の軍事政権をもう少しソフトにした統治形態ということになってしまうが、本格的な民主政権を望む人はまだ少数派であるというエジプトの現実を考えると、それがもっともよいバランスといえるのかもしれない。
 ただこうした動きに対してムスリム同胞団をはじめとする保守的なイスラム勢力が反発するのは必至で、次の選挙において再びモルシ氏のようなイスラム色の強い人物が大統領に選出されない保障はない。当分の間、エジプト情勢は混乱が続く可能性が高い。

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