ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

欧州中央銀行がとうとう時間軸政策を採用。FRBや日銀と同じスタンスに

 

 小康状態が続いていた欧州経済に再び動揺が走っている。これまで5%台で推移していたポルトガル国債の金利が上昇し、閣僚の辞任騒動など政治混乱が伝えられると、一時7.5%まで急騰した。
 これを受けて欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は「政策金利が長期間にわたって現行水準のまま、もしくはそれを下回る可能性がある」と発言し、現在の緩和的スタンスを長期間継続させるとともに、場合によっては金利引き下げを実施することを示唆した。

 ECBはこれまで金融政策の具体的な時期について言及することはなかった。だが今回「長期にわたって」という表現で時期を明示したということは、ECBもFRB(連邦準備制度理事会)や日銀と同様、時間軸政策を採用したことを意味している。
 時間軸政策とは、中央銀行がある金融政策を実施する期間や条件をあらかじめ明示するやり方のことを指す。一定期間、特定の金融政策が維持される保障があるので、市場は安心して中央銀行の政策に追随することができる。
 日本では2%の物価目標が達成できるまで、緩和政策が維持されることが分かっているので、市場関係者はその間、緩和政策の継続を前提に取引を実施することが可能となる。

 ECBが従来のスタンスからもう一歩踏み込んで時間軸政策の採用に踏み切ったのは、欧州の景気低迷がより深刻になり、回復までには相当の時間がかかることをECBが強く意識しはじめたからである。だが市場では今回のECBの措置をそれほど深刻には受け止めていない。

 欧州は、経済的体力が異なる複数の国が同一の通貨を用いるという根本的な矛盾を抱えており、この問題を解決するには、国家財政を含めて完全な統合を実現する以外に方法はない。だが主権国家の枠組みを超えて統合を実現するのは容易ではなく、仮に実現するにしてもかなりの時間がかかる。それまでの間には、財政危機や金融危機が形を変えて何度も発生することはある程度予想の範囲となっており、今回のポルトガルの事態もその延長線上にある。

 ただ直近の問題として、欧州の景気低迷が鮮明になれば、中国から欧州向けの輸出が伸び悩むことは確実であり、欧州の回復期待の後退は、中国経済の低迷リスクをさらに拡大させることにつながるだろう。

 - 経済 , , , , ,

  関連記事

tosho02
上からの改革でROE向上を掲げる企業が急増。そのシワ寄せはどこに?

 ROE(株主資本利益率)の向上を経営目標に掲げる企業が急増している。これまで日 …

no image
日韓スワップ協定は延長せず。背景に領土問題があることは明らか

 政府が韓国との通貨スワップ協定を延長しないことが確定した。  通貨スワップ協定 …

no image
反日デモで中国からの撤退を検討する企業が増加。だがデモは言い訳にすぎない

 中国全土で発生した大規模な反日デモをきっかけに、多くの日本企業が中国進出計画の …

imf Deputy Director japan
IMFが日本との協議を終了。アベノミクスを評価するも、構造改革とセットにすべきと指摘

 IMF(国際通貨基金)は5月31日、経済動向と政策課題に関する日本政府との10 …

amari
本来の趣旨とは正反対。法人税減税議論は活力を削ぐ後ろ向きな話題ばかり

 法人税の実効税率引き下げの財源として、企業の赤字繰り越しを縮小する案が浮上して …

no image
楽天が出版取り次ぎに参入。その本当の目的は?

 楽天が出版取り次ぎ業に参入すると朝日新聞が報じている。取り次ぎとは書籍の卸売業 …

kadokawadowango
KADOKAWAとドワンゴが経営統合。相互補完的でプラスになる可能性

 角川書店を中心とするメディア企業のKADOKAWAと、動画配信大手のドワンゴが …

okane
キプロスの預金没収で脳裏によぎったのは、日本における「預金封鎖」と「財産税」

 ユーロ圏がキプロスに対して行った銀行預金に対する最大約10%の課徴金徴収につい …

trumporder
トランプ大統領がとうとう日本の為替政策を批判。市場はショックもある意味では想定内

 トランプ米大統領がとうとう日本の為替政策について批判を展開した。これまでの発言 …

imf201407
IMFの世界経済見通し。機関車役だった米国の失速で、多くの国が下方修正

 IMF(国際通貨基金)は2014年7月24日、世界経済見通しの改定値を発表した …