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予想外に好調だった米雇用統計で、9月緩和縮小の声が高まる

 

 米労働省は7月5日、6月の雇用統計を発表した。失業率は7.6%と横ばいだったものの、景気動向を敏感に反映する非農業部門雇用者数が19万5000人増となり市場の予想を大きく上回った。

 米国市場ではFRB(連邦準備制度理事会)による量的緩和政策の終了時期(いわゆる出口戦略の時期)をめぐって神経質な展開が続いている。
 FRBがもっとも重視する指標の一つである雇用統計の数値が思いのほか良好だったことから、当初の予想通り、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で緩和縮小を決定する可能性が高まってきた。

 米国経済は基本的に順調な回復を見せており、FRBでは近いうちに量的緩和を縮小する方針を明らかにしていた。バーナンキ議長は、失業率など経済指標の改善が条件としており、今回の雇用統計は多くの市場関係者が注目していた。
 米国は3月に発動された政府支出強制削減の影響で、第2四半期のGDPは伸び悩みが予想されている。欧州の景気がさらに悪化していることや、中国経済が変調する兆しを見せていることなどから、一部では緩和縮小が来年以降にズレ込むとの見方も出ていた。

 だが今回の雇用統計で雇用増加の傾向がより鮮明になってきたことで、早期縮小を予想する声が再び大きくなってきた。一足先に発表された6月のISM製造業景気指数 は50.9で、前月よりも1.9ポイントの増加となった。50を下回った5月から一転、こちらも予想以上の上振れとなっている。

 米国経済が堅調なのは好調な内需によるところが大きい。米国以外の主要市場は依然として厳しい状況が続いている。
 欧州の失業率は過去最高水準で推移しており、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁は今後の利下げも示唆する発言を行っている(本誌記事「EUの失業率が過去最悪で若年層対策に1兆円投入。日本での関心は低いまま」参照)。また中国の景気失速も著しく、中国国家統計局が発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1と景況感の節目となる50をわずかに上回る水準だ。中国当局は、成長鈍化という事態になっても、国内の市場改革を断行する構えで、目立った景気対策は実施しない公算が高い。

 米国経済に対して慎重なスタンスの市場関係者は、欧州や中国の状況を考えると、米国経済も年後半から失速する可能性があり、安易な緩和縮小は避けるべきと主張している。だが米国の内需が堅調であることや、量的緩和を継続することの弊害も議論されていることなどを考えると、早期緩和縮小を容認する声が大きくなっていると考えられる。

 9月から緩和縮小が実行された場合、ドル高が一気に進む可能性が高い。特に中国市場から資金が流出する可能性が高く、場合によっては中国の株式市場が大きく下落するかもしれない。量的緩和縮小は長期的には世界経済に良い結果をもたらすだろうが、短期的には市場混乱の要因となる可能性が高い。

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