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自国選手優勝まで77年。ウィンブルドン方式(市場開放)は有効な経済政策になるか?

 

 テニスの世界4大大会であるウィンブルドン選手権(全英オープン)において、7月7日、男子シングルス決勝が行われ、英国のアンディ・マリー選手がセルビアのノバク・ジョコビッチ選手を破り、初優勝した。英国人の優勝は、1936年のフレッド・ペリー選手以来77年ぶりの快挙。マリー選手は、賞金160万ポンド(約2億4000万円)を獲得した。

 ウィンブルドン選手権の名称は、政治や経済の世界では、市場を開放し、海外資本を受け入れる政策の象徴(ウィンブルドン方式)として語られている。

 ウィンブルドン選手権は、世界で最も著名なテニス大会であり、そのブランドは圧倒的なものがある。だが開催地の英国では、1936年以降、今回マリー選手が優勝するまで、自国選手が優勝できないというジレンマを抱えてきた。
 世界から有力選手を集め、大会のブランド力が維持されるのであれば、自国選手が活躍できなくてもやむを得ないという割り切りが、ウィンブルドン選手権をここまでの存在にした原動力といわれている。

 経済の世界でも同様である。英国は国内市場を開放し、外国資本が自由に参入できるようにして、経済を活性化し、英国市場の地位を維持する政策を採用してきた。だがそこで活躍する企業は英国企業とは限らず、多くが外国企業になってしまう可能性がある。英国企業が駆逐されてしまうリスクがあっても、英国市場の活性化を優先させるという考え方が、ウィンブルドン選手権とよく似ているので、いつからか、市場開放を優先させる政策はウィンブルドン方式と呼ばれるようになった。

 実際、英国は積極的な金融市場開放後、米国の投資銀行が進出し、英国の金融機関は半分以上が駆逐されてしまった。だが現在でもロンドンは為替市場などで世界トップの地位を維持している。ドバイの海外資本呼び込みも一種のウィンブルドン方式といってよいかもしれない。
 日本でも小泉政権で構造改革が議論された際には、このウィンブルドン方式が真剣に検討されたが、結局は市場を開放する政策は選択されなかった。だが今回のアベノミクスでは「経済特区」という形で同様のプランが復活してきている。

 他国資本を利用するやり方は、導入すれば一定の効果が得られることはある程度実証されている。特に一定の経済的地位があるが、成熟して競争力が低下してしている国に導入する効果は高い。だが、自国の競争力が低下しているという冷酷な現実を国民が受け入れなければならず、政治的には厳しい選択となる。また市場開放も中途半端では意味がなく、やるならば徹底的に行わないと効果は半減してしまう。舵取りに失敗すれば、大混乱を起こすだけで終わってしまうと事態にもなりかねない。

 安倍政権は小泉内閣の失敗事例にかなり神経質になっており、アベノミクスでは、市場開放につながる政策は慎重に回避するスタンスをとり続けてきた。だがアベノミクスに対する市場の反応が今ひとつであったことから、安倍首相は法人税の減税や特区創設など、市場開放につながる政策を徐々に強調し始めている。

 参院選後は、積極的な市場開放政策を行うべきなのか、小泉政権当時のような議論が復活してくることになるかもしれない。

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