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5月の国際収支。貿易赤字定着も経常収支プラス維持の傾向が鮮明に

 

 財務省は7月8日、5月の国際収支を発表した。最終的な国の儲けを示す経常収支は5407億円の黒字と前年同月比で約6割黒字幅が拡大した。4月の経常収支は前年同月比2倍の黒字となっており、経常黒字は4カ月連続。海外への投資から得られる利益が円安によって増加し、貿易の赤字をカバーするという最近の傾向がより鮮明になってきた。

 貿易収支は9067億円の赤字。原油などエネルギー関連製品の輸入や携帯電話など通信機器類の輸入が増加し、9カ月連続で赤字幅を拡大している。ただし、海外からの旅行者が増加したことでサービス収支が441億円の黒字に転換したことから、サービスを含んだ収支の赤字幅は縮小している。

 一方、海外への投資から得られる利子や配当収入を示す所得収支は1兆5228億円の黒字で、6カ月連続の増加。海外に移転した工場など直接投資からの配当金などが増加したことや、外国債など海外投資からの利益が円安によって増加した。

 日本はすでに貿易赤字の体質が定着しており、輸出の代わりに海外に対する投資で収益を上げる体質に変わってきている。貿易赤字に転換後、円安の効果がどの程度になるのかで、経常収支の動向は大きく左右されるが、現在の状況が続けば、経常収支はトータルでプラスになる可能性が高い。

 日本はこれまで製造業の輸出で貿易黒字を積み上げ、それを資本流出という形で海外投資に回してきた。日本の製造業は競争力を失ってきており、現在では貿易赤字が定着している。もし海外からの投資収益がなければ、日本の経常収支はマイナスとなり、これを均衡させるように、今度は海外から資本が流入してくることになる。
 だが貿易黒字の代わりに、投資収益による経常収支の黒字が続けば、蓄積した黒字を海外投資に回すという従来の構造は維持されることになる。

 日本の経常収支の動向が最終的にどうなるのかはまだ判断できないが、5月の国際収支の数字を見ると、経常収支のプラスが維持される可能性が高くなってきている。もしそうだとすると、製造業の衰退と工場移転によって産業構造としては大きく変化しているものの、お金の出入りという観点ではそれほど変化していないということになる。日本人の貯蓄は減少しているため長期的には分からないが、短期的には日本経済に大きな変化は見られない可能性が高い。

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