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設備投資の先行指標にちょっとした異変。設備投資復活か単なるブレか?

 

 アベノミクスにおける最大の懸念材料の一つであった企業の設備投資に変化の兆候が見え始めている。設備投資の先行指標といわれる機械受注統計が良好な数値を示しており、市場では設備投資に対する期待が高まってきている。
 だが設備投資を積極的に行っているのは製造業ではなく、数値のブレが大きい非製造業である。製造業から非製造業へ産業構造の転換が進んでいるのか、単なる数値のブレなのか、市場関係者の見方は分かれている。

 内閣府が7月11日に発表した5月の機械受注統計では、民間設備投資の先行指標といわれる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)が前月比10.5%のプラスとなった。
 同指標は3月に14.2%の大幅増となり設備投資回復に期待が持たれたが、4月には一転して8.8%のマイナスに転落していた。だが5月に再び大幅なプラスとなったことで、市場では楽観的な見方が支配的になってきている。

 機械受注の統計はこれまで数値が大きくブレることはあまりなかった。指標の動きは製造業の受注動向に大きく左右されるのだが、製造業の受注は非製造業に比べて安定的に推移してきたからである。これに対して非製造業の受注は指標への影響は小さいものの、時期ごとのブレが大きいという特徴がある。

 最近では、製造業の動向で指標の数値が決まるというこれまでの傾向に変化が見られるようになってきた。指標の動きが非製造業の受注動向と強く連動するようになってきたのである。
 5月の受注では、金融機関や運輸関連企業からの受注が2倍近くに増加し、全体の数字を押し上げた。4月の下落や3月の上昇も非製造業からの受注動向が大きく影響している。

 これは二通りの解釈ができる。全体として設備投資が改善する傾向にあるが、その主役が製造業から非製造業に移っているというもの。もうひとつはもともとブレの大きい非製造業の設備投資が今回、たまたま増加しているだけというものである。内閣府では「機械受注は、緩やかな持ち直しの動きがみられる」との表現を据え置いてる。

 7月11日の日銀の金融政策決定会合では、景気判断について前月の「持ち直している」から「緩やかに回復しつつある」に上方修正した。「回復」の文言が盛り込まれたのは2011年1月以来のことである。一方、設備投資については「持ち直しに向かう動きも見られる」との表現にとどめた。
 秋には、いよいよ景気判断に基づいて消費税増税を実施するのか決断することになる。設備投資の解釈をめぐって、しばらくは神経質な展開が続きそうである。

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