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欧州で再び年金制度改革が議論に。日本がのんびりしているのは外圧がないから?

 

 債務問題を抱える欧州で年金制度を見直す動きが再び活発になってきている。フランス政府の年金制度に関する専門家委員会は6月14日、年金保険料の納付期間延長などを柱とする改革プランを盛り込んだ報告書を政府に提出した。エロー首相は秋までに具体的な法案としてまとめる方針だが、紆余曲折が予想されている。

 フランスではサルコジ前大統領が年金制度改革を断行。労組が2カ月間のストライキを実施するなど激論の末、年金支給開始年齢を60歳から62歳に引き上げる法案を2010年に可決した。
 だがその後、欧州の債務問題が深刻化してきたことから、はやくも制度の維持が不可能になり、EU(欧州連合)の執行機関である欧州委員会はフランスに対して再度年金制度を改革するよう求めていた。

 新しい改革案では、現行では41.5年となっている満額支給の条件を満たす加入期間を、43年から44年に延長する。また公務員の年金についても支給額の算出方法を見直すという。

 財政危機が深刻なイタリアでは、さらに大胆な年金制度改革が実施されている。60歳だった受給開始年齢はすでに66歳に引き上げられており、2022年には67歳に、2026年には68歳まで引き上げられる予定。物価上昇に伴って支給額を増額させる物価スライド制も廃止になった。

 日本の年金の受給開始年齢は2013年度から段階的に引き上げられ、2025年度には65歳になる。だがこの程度の開始年齢引き上げでは制度が破綻してしまうのは確実であり、政府内部では68歳程度まで引き上げる案も検討が始まっている。だが、実際に支給開始年齢の引き上げが始まっているイタリアに比べると、日本の危機感は薄い(本誌記事「年金運用益が過去最高。だが運用原資は毎年4兆円ずつ減少しているという事実」参照)。

 欧州が国民の反発を伴う年金制度改革に前向きなのは、債務危機という現実的なリスクや欧州委員会からの強いプレッシャーが存在しているからである。だが日本は外部から年金制度の改革を強制される環境にはなく、年金制度改革を積極的に取り上げるインセンティブは政府与党には存在しない。日本の財政問題が市場で問題視される時まで、抜本的な改革は先送りされる可能性が高い。

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