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FRBのバーナンキ議長が緩和縮小に慎重姿勢。だが本音はスケジュール通り?

 

 米FRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和策縮小のタイミングをめぐって市場では神経質な展開が続いている。
 7月10日に公開された6月のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録では、緩和縮小に関するコンセンサスは得られているものの、複数のメンバーが労働市場のさらなる改善が必要との見解を示していたことが明らかになった。また同日、FRBのバーナンキ議長は講演を行い、量的緩和策を当面は維持するスタンスを強調した。市場ではドルが売られ円高が進むとともに、ニューヨークの株式市場は上昇した。

 議事録によると、複数のメンバーが年内の緩和縮小を主張したが、残りのメンバーは労働市場の改善が見られるまで緩和策を続けるべきと主張していた。一方政策金利については、メンバー全員が当面は金利の引き上げを行わない点で一致した。
 米国景気が全体として順調に回復していることは、全員のコンセンサスとなっているようだが、足元の状況判断についてメンバー間で意見が分かれていることが明らかとなった。
 またバーナンキ議長はこの日講演を行い「現在のインフレ率と失業率を考えると、量的緩和を継続することが必要」と述べ、早期の緩和縮小に否定的な見解を示した。

 これを受けて為替市場ではドルが売られ、一時101円だったドルは98円台まで下落した。一方、株式市場は早期の緩和縮小観測が後退し、ダウ平均株価は15000ドル台を維持している。

 為替市場や株式市場がFOMCの議事録やバーナンキ議長の発言に敏感に反応したのは、6月の雇用統計が予想以上に好調で、市場では早期の緩和縮小が既定路線になりつつあったからだ。バーナンキ議長の思いのほか慎重な発言に、市場は多少動揺したといってよい(本誌記事「予想外に好調だった米雇用統計で、9月緩和縮小の声が高まる」参照)。

 もっとも市場関係者の多くは、バーナンキ議長の発言は心理的効果を狙ったもので、緩和縮小のスケジュールに大きな変更はないと見ている。これ以上、緩和策を続けることの弊害を多くのメンバーが意識し始めている。メンバー間の意見の相違はあくまでタイミングの問題であって、量的緩和の縮小そのものではないからだ。

 懸念材料は米国内よりもむしろ外部にある。量的緩和縮小がスタートすればドル高となり、中国をはじめとする新興国から資金が流出する可能性がある。中国経済は現在、非常に微妙な状況にあり、量的緩和策の縮小が、新興国の株価下落の引き金を引くような事態はFRBとしては避けたいところである。早ければ9月といわれる緩和縮小に向けて、新興国の経済状況をにらみながら、FRBと市場の間では当分の間、駆け引きが続くと予想される。

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