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マイクロソフトが大規模な組織再編に着手。脱PCで伝統の事業部制を放棄

 

 米マイクロソフトは7月11日、これまでにない大規模な組織再編を行うと発表した。従来、Winodws部門、Xbox部門など、製品ごとに縦割りとなっていた組織を抜本的に見直し、OS部門、アプリケーション部門といったように、製品の機能区分ごとの組織にあらためる。新しいOS部門は、パソコン向けのOSからスマホ用のOS、さらにはクラウドサービスのOSまですべてを統括することになる。

 同社はこれまで製品ごとに独立した事業部制を採用してきており、日本でいえばかつてのパナソニック(松下電器産業)に近い組織形態であった。
 例えばゲーム機を開発している部門は、パソコン部門のことをまったく考えずに仕事を行ってきた。事業部制の利点は互いに利益を競わせることで全体の収益を拡大できる点にあるが、相互のシナジー効果を発揮できないというデメリットもある(かつてのパナソニックでは、別の事業部が同じような製品を開発し、顧客を奪い合う事態まで発生していた)。これまでのマイクロソフトは、パッケージ・ソフトという自己完結する形態での製品供給が主流だったことから、事業部制を導入するメリットの方が大きかったといえる。

 だが今回、同社が抜本的な組織再編に手を付けたのは、パッケージ・ソフトを開発販売するという同社の事業形態を根本的に見直そうとしているからである。新しい戦略では同社を「サービスとデバイスを提供する企業」と位置付けており、提供形態にはこだわらない姿勢を明確にしている。そうなってくると、同じ機能を持つソフトウェアであっても、ネット上で機能を時間貸しする形態とパッケージで販売する形態などに分かれてくる。さらに複数の提供形態を組み合わせたサービスも開発されてくる可能性が高く、販売形態ごとに別な組織にしてしまうとムダが多くなってしまう。

 マイクロソフトはパソコン向けソフトの分野では圧倒的な地位を築いてきたが、スマホやタブレット向けでは競合の米グーグルや米アップルに大きく遅れを取っている。パソコンの出荷台数減少が鮮明になる中、体制を一新してスマホやタブレットといった成長分野を強化する(本誌記事「パソコンが消滅する? Windows8が示すパソコン時代の静かな終焉」参照)。

 もっとも同社の足元の業績は業務用アプリケーションが売上げを伸ばしていることもあり堅調に推移している。昨年(2012年6月)の決算は売上高が約7兆4000億円、当期利益は1兆7000億円であった。今年もこれを上回る決算が予想されている。同社株の配当利回りは3%近くに達しているが、逆に言うと、かつての高成長企業のイメージではなくなってしまっている。

 当面、WindowsやOfficeといった定番商品のニーズは減少しないので、同社が抱えるリスクは今のところ少ない。体制の一新によって相対的に弱いスマホやタブレット分野が強化されれば、業績と株価にはプラスに作用する可能性が高いだろう。

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