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シャープに拒絶された鴻海が日本に開発拠点を設立。シャープ技術者の採用に乗り出す

 

 経営再建中のシャープに出資を検討したものの、最終的にはこれを断念した台湾の鴻海精密工業が日本に研究開発拠点を設立、日本人技術者の獲得に乗り出している。

 鴻海が日本に設立したのはフォックスコン日本技研という会社で、社長に就任したのは何と元シャープの矢野耕三氏。シャープでは液晶パネルの開発を担当しており技術分野におけるキーマンの一人だった。
 経済誌などのインタビューに応じた矢野氏は、同社設立の目的は、スマホ向けの高精細ディスプレーの開発であることや、今後日本人技術者を40人程度採用する予定であること、鴻海本社からは120億円ほどの予算が付いていることなどを明らかにした。

  鴻海が、約2兆円もの負債を抱え債務超過になりかかっていたシャープにわざわざ出資を検討したのは、シャープが持つ高精細液晶パネルの技術の獲得を狙ったからといわれている。真偽のほどは定かではないが、鴻海とアップルは次世代の主力商品であるアップルTVや腕時計型の端末について、シャープの液晶技術を用いて共同開発する交渉を行っていたともいわれる。
 だがシャープ側が鴻海による経営関与を嫌ったことから交渉が難航、結果的に出資はまとまらなかった。シャープは現在、銀行が全面的に資金繰りを支援しているので倒産は免れているが、同社の経営状況はまったく改善されていない(本誌記事「綱渡り経営が続くシャープの決算。すべては銀行の方針次第」参照)。
 シャープは銀行の求めに応じて大規模な人員削減を行っているが、鴻海が日本の開発拠点を設立したことで、結果的に鴻海がシャープの技術者の受け皿となっている。同社の開発がうまくいけば、わずか120億円でシャープが持つ技術をまるまる手に入れたことになる。

 もっとも鴻海も、アップルの販売鈍化や中国の人件費高騰のあおりを受けてかつてほどの勢いはない。日本人技術者を引き抜いて自社開発を行うという戦略がうまくいくかどうかは不透明だ。ただ経営形態がどのような形になるにせよ、鴻海がシャープに出資していれば、シャープが持つ人材や拠点はそのまま維持され、鴻海経由で同社の液晶を販売できた可能性が高い。
 鴻海の傘下入りをシャープの経営陣が望まず、株主もそれを追認している以上、第三者がとやかくいう話ではないのかもしれない。ただ、結果的に鴻海が日本で技術者の獲得に乗り出し、自社での液晶製造を検討している事実を考えると、企業の国籍とは何なのか、あらためて考える必要がありそうだ。

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