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バーナンキ議長の議会証言。量的緩和縮小は既定路線になったと解釈すべき

 

 FRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は7月17日、米議会で証言を行った。全世界が注目している量的緩和の縮小時期については、年内に縮小を開始する可能性を示す一方で、失業率などが目標を下回った場合には、現在の緩和策を当面続ける方針をあらためて強調した。

 量的緩和の縮小をめぐっては、バーナンキ議長が早期の縮小開始を示唆したことから、米国の金利が急騰。ドル高が進み、新興国から資金が流出するなど、市場が混乱した。その後も、バーナンキ議長の真意をめぐって市場では憶測が飛び交い、不安定な状態が続いていた。
 今回の議会証言でバーナンキ議長は、米国経済は良好であり、量的緩和策は縮小する方向性にあるが、経済の状況次第では現在の政策を継続する可能性があるという、従来のFRBの立場を再確認するメッセージを発した。予定調和的な内容であり、市場は落ち着きを取り戻す可能性が高い。

 注目の量的緩和の縮小時期だが、9月に縮小を開始するのかどうかはともかく、秋に縮小を開始するとの見方は根強い。今回のバーナンキ議長の発言を額面通り受け取れば、4~6月期のGDPや来月以降の雇用統計の数字が良好であれば、9月もしくは10月に縮小を開始する可能性が高いということになる。

 欧州経済は低迷が続き、中国も景気失速が鮮明となっている。現在は米国だけが順調に回復軌道に乗っている状況だ。本来であれば、米国は順調な景気回復を背景に、量的緩和策の縮小に躊躇なく踏み切れるところだが、諸外国の状況がそれを許していない。米国が量的緩和の縮小に踏み切れば、中国をはじめとする新興国から米国にドルが逆流し、新興国市場が暴落する危険性がある。特に中国はシャドーバンキング問題もあり、非常に微妙な状況だ。

 今回の発言は、状況に応じて柔軟に対処するという意味で市場に安心感を与えるものではあったが、一方で米国の経済情勢さえ良好であれば、縮小を強行するという意図もあらためて示したといえる。
 米国経済は、リーマンショックという非常事態に対処するフェーズから、景気が持続的に拡大するという次のフェーズへの移行が始まっている。今後は金利上昇、ドル高、株高という長期的な流れが形成されてくる可能性が高い。今回の議会証言は、むしろこの大きな流れが既定路線になったことをあらためて確認するものであったと解釈すべきだろう。

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