ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

NECのスマホ事業撤退は、日本型ガラパゴス産業の象徴?

 

 これまでNTTドコモと二人三脚で携帯電話事業を展開してきたNECが、スマホから撤退する。日本経済新聞は7月17日付けで「NEC、スマホ撤退へ」と題し、同社単独での事業継続を断念したと報じた。NECはこの報道に対して「報道された内容について決定した事実はない」というコメントを発表したが、撤退はほぼ既定路線とみられる。

 日本の携帯電話事業は、NTTドコモ主導で開拓されてきた。ドコモ側が仕様をすべて決定し、同社に携帯電話を納入するNECなどのメーカー各社は、ドコモ側の要求を飲むことを条件に、携帯電話の販売価格や台数が保障された。

 現在では「ガラパゴス」と呼ばれる閉鎖的な垂直統合モデルは、当初から疑問視されていたが、携帯電話事業への新規参入が事実上規制されている日本ではうまく機能し、iモードが大ヒットしたことから、ドコモとメーカー各社はこの路線に邁進した。当時の新聞や雑誌の紙面は、iモード戦略のすばらしさや日本メーカーの技術の高さを賞賛する記事であふれかえっていた。だが結果的に、iPhoneなどの海外製スマホが登場して市場の状況は一変してしまった。

 ドコモは携帯メーカー各社を囲い込む戦略をやめ、現在人気の高い、ソニーとサムスンの最新機種を「ツートップ」と位置づけ、販売奨励金を重点的に投入するという方針に転換した。NECは中国レノボとの携帯電話事業の統合も模索したが条件が合わず断念。最終的にはスマホ事業からの撤退を決断した。

 NECのこうした状況は、日本の大手企業の多くが、官の下請けとして発展し、現在もその状況から脱却できていないことの象徴といえる。
 そもそもNECはNTT(旧電電公社)に電話の交換機を納入するメーカーとして業績を伸ばしてきた。NECや富士通、沖電気などは旧電電ファミリーと呼ばれ、現在のNTTへの依存度が極めて高かった。NECの正式社名は日本電気だが、電電公社の言うがままに、交換機を納入すれば商売が成立する事を揶揄して「日電公社」と呼ぶ人がいたくらいだ。三田にある同社の本社ビルの主要フロアはNTT向けの部門で占められていた。

 NECはその後、NTTからの脱却を目指し、パソコンなどコンシューマ市場を強化した。一時は国内パソコン市場で圧倒的なシェアを誇ったが、90年代前半にはグローバルスタンダードの米国製パソコンが市場を席巻。パソコン事業は低迷し、結局は中国のレノボに事実上売却してしまった。
 その後、急拡大した携帯電話市場でNECはトップのシェアとなったが、携帯電話事業は、以前と同じ、NTTグループに依存するビジネス。結局NTTからの脱却はかなわなかった。現時点でもNTTグループからの売上げは同社の2割近くを占めている。

 NECはこうした事業構造の転換を受けて7月9日には事業セグメントの変更を発表している。新しいセグメントは、パブリック、テレコムキャリア、システムプラットフォームなどからなり、官庁からの受注に事業がさらに集約されていることを示している。NTT脱却を目指してから約30年、究極の官庁依存企業としてNECは再出発することになる。
 同社の2013年3月期決算は、リストラがほぼ終了し、なんとか黒字を確保した。以前にも増して強烈なガラパゴスに徹したことで、黒字転換を果たしたというのは皮肉というよりほかない。

 - 経済, IT・科学 , , , ,

  関連記事

mox
プルサーマル計画の意義が薄れる中、震災後初となるMOX燃料が高浜原発に到着。

 関西電力高浜原発3号機で使用するMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料 …

putingunjiryoku
ウクライナ情勢への懸念から米国への資金流出が続く。プーチン政権には打撃

 欧州景気に対する不透明感とウクライナ情勢への懸念から、投資資金が欧州から米国に …

abe20130901
秋にまとまる一連の成長戦略パッケージは、事実上の計画経済へのシフト?

 秋の臨時国会に提出が予定されている産業競争力強化法案など、一連の成長戦略パッケ …

drugstoa
規制緩和の象徴が今度は規制強化の立場に。市販薬ネット販売規制に見る栄枯盛衰

 市販薬の新しいネット販売ルールを議論する厚生労働省の検討会議は9月20日、市販 …

tosho03
公的年金が海外インフラ投資への参入を検討。国内の株式はどうするの?

 日本の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用指針の …

nintendowii
巨額赤字の任天堂。相続された株式の行方をめぐって市場は戦々恐々

 任天堂は2014年1月17日、2014年3月期の業績予想を大幅に下方修正すると …

jinkousinzo
体内埋め込み型の人工心臓が仏で臨床試験開始。実用化できれば画期的

 フランスの医療器具メーカーであるCarmat社は2013年12月20日、体内埋 …

setsubitousi
日本企業の内部留保が過去最高。むしろ重要なのは資産の有効活用

 日本企業が内部留保を蓄積している。2013年3月期における日本企業の内部留保は …

asohadaijin201406
麻生大臣による「守銭奴」発言。表現は下品だが、本質を突いている

 麻生財務大臣は2015年1月5日、日本企業が内部留保を蓄積していることについて …

monju
もんじゅ廃炉案が再び浮上するもやはり立ち消え?決められない日本人の悲しい性

 現在、運転を停止している高速増殖炉「もんじゅ」について、廃炉を含めた検討が行わ …