ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

官民が注目するビックデータで深刻な人材不足。日本がいつも人材不足になる理由とは?

 

 ネット上の履歴など膨大な情報を分析しビジネスに有効活用するという、いわゆる「ビックデータ」とよばれる分野が注目を集めている。政府もビックデータを成長戦略の重点項目のひとつとして位置付けているが、この分野を担う人材不足が顕著になっているという。

 ビックデータを活用するためには、データの分析を担うデータサイエンティストと呼ばれる人材が必要となる。データサイエンティストは、統計学に加えITの知識が求められるだけでなく、企業や官庁に対するコンサルティング能力も必要となる。とりあえず、現時点で分析を担当できる人材は1000人程度しかおらず、人材不足に陥るのは確実とみられる。

 業界関係者は今後の人材不足を憂慮し、人材育成や情報共有のための協会を設立するなど対策に乗り出している。

 人材が不足しているのは、大学や大学院で統計学、もしくはそれに類する専門分野を学ぶ人材が欧米に比べて圧倒的に少ないことが原因とされている。だが日本においてこうした新しい分野で人材が不足するのはいつものことであり、今回のケースに限った話ではない。日本はモノ作りの国であり、建前上は工学教育を重視してきたはずだが、なぜか常に人材不足という問題に直面している。
 日本の研究者の単位人口あたりの数は米国よりも多く世界トップである。また自然科学系の学位取得者の数も、米国に次いで2番目となっている。基本的な素養をもった人材の絶対数は不足していない。問題は専門家の育成をいつ始めるのかというタイミングにあると考えられる。

 政府や企業は、米国など他の先進国で革新的な技術が生まれ、市場に普及した後、それが日本に輸出されてきて初めて人材育成に乗り出すことが多い。日本国内でも同様の革新的技術は生まれているはずだが、多くの場合見向きもされない。欧米で普及したものでないと日本人はその価値を否定する傾向が強いのだ。新しい技術を生み出す課程で同時進行的に人材育成を進める欧米とは差がついて当然である。

 デロイト トーマツ コンサルティングの調べによると、日本企業の売上高に占める新規事業の割合はわずか6.6%と米国や中国の半分以下だという。しかも日本の場合は新規事業のうち9割が自社にとっての新規事業であり、世の中で初めての事業ではないという。これに対して米国では新規事業の50%が、自社のみならず、世の中でも初めての事業になっている(本誌記事「日本企業は新規事業に極めて消極的。革新的事業に至っては米国の5分の1」参照)。

 つまり日本は他社がやって成功していることしか取り組んでおらず、革新的事業にはほとんどを手をつけていないということになる。市場で普及して誰もが知るようになってから人材育成を行っていたのでは、先行する外国企業に勝てる見込みは極めて薄い。モノ作り大国だったはずの日本が、肝心のモノ作りで勝てなくなっているのは、このあたりに理由がありそうである。

 - 社会, 経済, IT・科学 , ,

  関連記事

grillo
イタリア総選挙が大混乱。欧州危機が再燃するのか?それもと一時的なショックか?

 2月24日と25日に投票が行われたイタリア総選挙の結果が大混乱となり、世界の市 …

shujutsu
止まらない医療費の膨張が財政を圧迫。これは日本の中間層が抱える問題そのもの

 厚生労働省は11月14日、2011年度の国民医療費の概況を発表した。国民医療費 …

chuusha
子宮頸がんワクチンが定期接種の対象に。一部から懸念の声が上がる理由とは?

 子宮頸(けい)がんなど3ワクチンを定期接種の対象とする予防接種法改正案が3月2 …

ge
米国の製造業回帰が効果を上げ始めた。だが一方でその波に乗れない人も

 中国から製造拠点を米国に戻す試みが成果を上げ始めている。米ゼネラル・エレクトリ …

gmwalmart
GMとウォルマートの新CEOはまさにサラブレット。「好き」を仕事にして大成功!

 米国の超巨大企業における新CEOの経歴に大きな注目が集まっている。自動車大手の …

no image
ダイバーシティを標榜する日本IBM、元社長が盗撮でイメージがガタ落ち

 日本IBMの大歳卓麻元社長が、女性のスカート内を盗撮したとして、警視庁の取り調 …

abetokku
日本の成長戦略はどう進めるべきなのか?フランスの失敗から学ぶことは多い

 経済活動に対して政府が強く関与するなど日本との共通点が多いフランスの経済政策が …

jinmingen
IMFが特別引出権(SDR)に人民元を採用。英国の全面支援が決め手?

 IMF(国際通貨基金)は、11月にも特別引き出し権(SDR)と呼ばれる準備通貨 …

usabouekitoukei
米国の貿易収支改善が顕著に。世界経済の大きな枠組みが変わりつつある

 米商務省は2014年1月7日、2013年11月の貿易収支(季節調整済み、サービ …

ibmrometti
苦戦続くIBM。人工知能に市場は反応せず、ドル高がダメ押し

 米IBMは2015年4月20日、2015年1~3月期の決算を発表した。売上高は …