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生活保護との逆転現象で最低賃金見直しは必須。だが最低賃金はすでに有名無実か?

 

 最低賃金の改定について議論している厚生労働省の審議会において、最低賃金が生活保護を下回っている「逆転」状態が11都道府県にのぼるという実態が明らかになった。

 厚生労働省中央最低賃金審議会小委員会は7月22日会合を開催し、賃金の改定状況や生活保護との関係について議論した。

 この中で、従業員30人未満の中小企業における2013年の賃金上昇率は0.8%であったことや、最低賃金が生活保護水準を下回る「逆転」状態が、北海道、東京、神奈川、京都、大阪など11都道府県で生じていることなどが報告された。逆転現象が生じている主な理由は、生活保護のうち住宅扶助が増加したことによるものだという。

 現在、最低賃金の引き上げと生活保護水準の切り下げが議論されているが、調査結果はこうした議論にも影響を与えそうだ。

 だが一方でこれらの議論を骨抜きにする事態も進行している。インターネットを使って仕事の受発注を仲介するビジネスが急成長しており、最低賃金が意味をなさなくなっているのだ。こうしたビジネスはクラウドソーシングとも呼ばれ、仕事を発注したい人と仕事を受注したい人をネット上でマッチングするというもの。多くは仕事を発注したい企業が仕事を請け負いたい個人に発注するという形態になる。

 こうしたサービスは、硬直化したサービス市場に風穴をあけるという利点もあるが、硬直化した労働市場の中でこうしたサービスが発達すると、企業が正社員の雇用を維持するために、極限まで外注コストを下げるための道具として機能してしまう。
 派遣会社を利用すると、最低賃金のカベにぶつかって一定金額以下の発注ができないが、こうした個人事業主に対する発注の場合、対価は限りなく安くできる。

 労働市場が最適化されていれば、最終的に賃金は一定のところに落ち着き、生活保護との逆転も解消されるはずである。派遣労働のシステムも本来はこうした市場の調整機能を提供するためのものであった。
 だが大企業の正社員の雇用だけが絶対的に保障されている日本の場合、こうしたシステムは、正社員の特権的な雇用を維持するためだけに使われてしまう。派遣労働システムの場合も結局は派遣労働者にすべてのしわ寄せが行く形になり、雇用環境は悪化した。このままではクラウド・ソーシングも同様の結果になりなねないと懸念する声が出ている。

 最低賃金や生活保護との乖離の見直しは、労働市場全体の問題として取り組むべきものであり、個別に解決できるものではない。俯瞰的な立場に立った政策が求められている。

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