ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

6月の貿易収支は円安効果で赤字縮小。だが産業構造の変化で数量減少は止まらず

 

 財務省は7月24日、6月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1808億円の赤字となっ た。赤字は12カ月連続だが、赤字幅は大幅に縮小した。輸出の数量は伸びていないが、円安の効果が徐々に顕在化してきた可能性がある。

  輸入額は前年同月比11.8%増の6兆2422億円となり、増加は8カ月連続。先月と同様、エネルギー関連、通信機器(スマホ)、電子部品などの輸入増加が目立つ。一方、輸出額は前年同月比7.4%増の6兆614億円で、米国向けの自動車販売が好調だった。
 貿易収支は前年同期比では赤字が拡大しているが、1兆円近くを計上した5月に比べると大きく改善している。6月は季節要因から貿易収支が改善する傾向があるが、季節調整済みの数字でも2000億円ほど赤字が減少していることを考えると、円安の効果が徐々にあらわれてきていると判断してよいだろう。

 円安が進むと、まず最初に輸入価格が上昇し、輸出価格の上昇が遅れるため、当初は貿易赤字が過大になる傾向がある。その後は、輸出価格の増大で一定の水準に落ち着くことになる(Jカーブ効果)。
 ただJカーブ効果はあくまで為替に対してニュートラルであることを示しているに過ぎず、輸出の数量が増えなければ輸出増大のメリットを享受することはできない。だが輸出の数量は13カ月連続で下落しており、その傾向に歯止めがかからない状況が続いている。

 特にアジア向けの輸出数量が減少しているのは、製造業の構造転換が背景にあると考えられる。中国には多くの日本メーカーが工場を建設しているが、これらは日本から部品を輸出し、最終製品として組み立てるための拠点として機能してきた。完成した製品は日本に逆輸入されたり、米国に再輸出されたりしている。
 だが最近はアジア各国の技術力が向上してきたことで、日本からの部品輸出を減らし、アジア域内での調達を拡大する動きが加速している。この動きは当分、継続する可能性が高く、アジア向けの輸出が短期間で大きく増加する見込みは薄いと考えた方がよいだろう。現行の為替水準では、円安による輸出増大効果はこのあたりが限界かもしれない。

 ちなみに財務省では6月の貿易統計の発表と合わせて、2013年上半期(1~6月)の貿易統計も発表している。半期の貿易収支は4兆8438億円の赤字で、これは過去最大の数値となった。ただ今年に入ってから貿易赤字傾向が定着していたことを考えると、特に驚くような内容ではなく、これまでの経過を追認しているに過ぎない。

 - 経済 , , ,

  関連記事

wine02
貿易戦争?中国がEUの関税措置に対する報復として、欧州産ワインを標的に

 中国商務省は6月5日、欧州産ワインが中国で不当に安く売られているという業界から …

american
アメリカン航空の座席トラブル。人為的なものである可能性が高まる?

 アメリカン航空で座席が外れる事故が相次いでいるが、アメリカン航空が機体の緊急点 …

frb
FRBが利上げを見送り。今後の焦点は労働市場ではなくインフレ率

 FRB(連邦準備制度理事会)は2015年9月17日に開催したFOMC(連邦公開 …

bitcoin
米当局がビットコインを事実上公認。日本は巨額の富を失ったかもしれない

 米内国歳入庁(IRS)は2014年3月25日、仮想通貨ビットコインに関する税務 …

businessphone01
職場で電話を取りたがらない若者急増中。だが世代間ギャップの話にするのは危険

 最近、会社内において電話を取れない(取らない)若手社員が増えているという。デジ …

aikoukoku
広告クリエイティブ業務のAI化で、すべての広告は動的になる

 広告業界でコピーライティング業務をAI化する取り組みが進んでいる。狙いは人員の …

shalegas
米国が安価なシェールガスの日本輸出を解禁。だが長期的円安で効果は相殺か?

 東京電力は6日、米国産の安価なシェールガスを年間200万トン確保したと発表した …

trumpchina
米中首脳会談は表面的には穏やかに終了。貿易不均衡をめぐる交渉は長期戦に

 注目されていた米中首脳会談は表面上は穏やかに終了した。トランプ政権は貿易不均衡 …

nichigin
12月はマネーストックの伸びが鈍化。一方で物価は上昇が続いている

 日銀は2014年1月15日、2013年12月のマネーストック(マネーサプライ) …

no image
シャープとインテルが提携という報道をめぐって、海外メディアとのレベルの差が露呈

 シャープがインテルと資本提携を模索しているとの報道をめぐり、日本のマスコミのダ …