ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

米国のバイデン副大統領がインドを訪問。意外に疎遠だった米国とインドの経済関係

 

 インドと米国があらたな経済連携に向けて対話を始めている。米国のバイデン副大統領は7月22日から25日までインドを訪問し、シン首相や経済界の代表らと相次いで会談を行った。インドには6月にケリー国務長官が訪問、その後インドの商工相が米国を訪問したばかりであり、両国の意気込みの高さを伺わせる。

 会談ではもっぱら、インドとの経済連携について話合われる予定。両国の原子力協定の内容や、インドが設定している通信防衛分野の直接投資制限の解除、米国が発行する就労ビザの条件緩和などが主なテーマ。
 インドはITサービス大国であり、米国のソフト開発の多くがインドにアウトソーシングされている。また英語を話せる人が多いことから、一般的なコールセンターはもちろんのこと、経理業務など企業の管理業務をまるごとインドにアウトソースするケースも増えてきている。
 またインドは東西冷戦時代には独自の核開発を行い、米国とは緊張関係にあったが、原子力開発分野でも方針を転換、現在では米国の軽水炉技術を導入している。

 米国とインドの経済関係はかなり濃密との印象があるが、実はそうでもない。2010年には57億ドル(約5700億円)あった米国からインドへの直接投資は2011年には半減しており、日本への直接投資額とあまり変わらない。また日本と同様、流通システムが複雑で、大規模店舗の出店規制があるなど市場効率が低いという特徴がある。最近では経済成長の鈍化も手伝って、インドから撤退する企業も増えているという。

 米国の産業界は、バイデン副大統領のインド訪問に合わせて、インドの規制緩和や市場開放を求める要望書を提出しており、バイデン副大統領はインドに対して、一層の市場開放を求めた。またインド側も経済成長の鈍化から、直接投資の増加を望んでおり、各論はともかく全体的な双方の思惑は一致している。

 米国とインドのさらなる接近は、アジア情勢に対して安定をもたらす可能性が高い。インドと中国はかつて国境で軍事衝突を起こしたこともあるが(1962年、中印国境紛争)、2013年4月には当時の国境紛争を彷彿とさせるような、国境地域での小競り合いがあった。
 中国はインドと米国が連携し、中国の封じ込めに出てくることを強く警戒しており、国境での衝突回避に向けた協議に積極的な姿勢を示している。米国とインドの接近は、中国の妥協を引き出す材料となるだろう。

 - 政治, 経済 , , ,

  関連記事

yukihatoyama
鳩山氏の暴走で浮き彫りになる、日本人にとっての「法の支配」

 クリミアを訪問中の鳩山由紀夫元首相は2015年3月12日、旅券を返納させるべき …

jinkoucinoukaiga
人工知能によって仕事の半分がなくなるとの野村総研の推計。現実はもう少し残酷?

 野村総合研究所は2015年12月2日、日本の労働人口の約半数が、人工知能やロボ …

obamasiriakubaku
オバマ政権が圧力に抗しきれずシリア空爆を決断。次期大統領選にも影響

 米国のオバマ大統領は2014年9月10日、テレビ演説を行い、イラクとシリアで勢 …

udeishoku
イラクで負傷した兵士の両腕移植が成功。皮肉にも戦争で米国の医療技術がさらに進んだ

 イラク戦争に派遣され従軍中に両手両足を失った米軍兵士が両腕の移植手術を受け回復 …

chogin
赤プリに続いて旧長銀ビルも解体。不況の最中、新しいビルを次々と壊す異様な光景

 バブル崩壊の象徴であった旧長銀ビルが建て替えられることになった。日本政策投資銀 …

shukinpei06
習近平氏がダメ押しで胡錦濤氏の側近を粛正。習氏への権力集中は完成に近づく

 中国の習近平国家主席が、胡錦濤前国家主席の側近である令計画氏の排除に動き始めた …

imf201407
IMFの世界経済見通し。機関車役だった米国の失速で、多くの国が下方修正

 IMF(国際通貨基金)は2014年7月24日、世界経済見通しの改定値を発表した …

amari
7~9月期のGDPはかなり悪い?政府内部で経済対策に向けた動きが活発化

 政府内部で経済対策の実施に向けた動きが活発になってきた。背景には、7~9月期G …

setsubitousi
8月の機械受注が大幅減。7~9月期GDPはマイナス成長の公算が高まる

 7~9月期のGDP(国内総生産)が4~6月期に続いてマイナスとなる公算が高まっ …

brics
BRICSが世界銀行やIMFに対抗してBRICS銀行を創設。だがタイミングが今一つ・・・・

  BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は3月26日、南アフ …