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米大統領選挙に見る政治と宗教。米国社会は想像以上に変化が進んでいる

 

 日本ではあまり報道されないが、米国の政治は宗教によって動く側面が強い。言うまでもなく米国はキリスト教、特にプロテスタントの国なのだが、最近、その宗教地図に地殻変動が起こっている。この動きは、米国政治を確実に変えつつある。

 今話題の米大統領選挙。宗教に詳しい人なら、候補者の宗教を見て、違和感を持ったかもしれない。両党の候補者の宗教は以下の通りだ。

【民主党】
オバマ大統領(黒人) プロテスタント
バイデン副大統領(アイルランド系) カトリック

【共和党】
ロムニー候補(白人) モルモン教
ライアン候補(アイルランド系) カトリック

 米国は建国以来、WASP(White Anglo-Saxon Protestant -白人プロテスタント)が絶対的なパワーを持ってきた。同じ白人でもカトリック(イタリア系とアイルランド系)はマイナーな存在だったのである(アメリカの映画やドラマを注意深く見ているとそのあたりが良く分かる)。
 日本では白人と黒人の対立ばかり注目されるが、実は白人内部の対立の方が深刻なのだ。黒人であるオバマ大統領が就任するまでは、米国大統領でカトリックだったのは、アイルランド系のケネディ大統領ただ一人である。

 だが今回の選挙は、いわゆる主流派のWASPはひとりも出馬していない。さらにプロテスタントなのはオバマ大統領だけである。オバマ大統領は黒人だが、むしろメジゃーな立場の米国人を代表しているのだ。黒人はもはや差別される側ではなく、完全に主流派になったといってよい。
 対抗馬のロムニー候補はモルモン教であり、つい最近まで米国では迫害視されていた宗派である。副大統領候補のライアン氏はアイルランド系でカトリックだ。バイデン副大統領もカトリックである(ちなみにバイデン副大統領は史上初のカトリックの副大統領である)。

 プロテスタントの弱体化は数字にも表れている。ピューリサーチセンターが発表した統計によると、プロテスタントの割合はすでに50%を切っており、特定の主教を持たない人が20%に達しているという。
 これは米国では驚くべき数字であり、価値観や人種の多様化が急激に進んでいることを示している。移民の流入やグローバル化の進展、女性の社会進出など、米国は大きく変化している。価値観の多様化は、もしかすると米国復活のカギとなるのかもしれない。

 - 政治, 社会

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