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日本女性は再び長寿世界1位に。今後は寿命の「長さ」ではなく「質」にも目を向けるべき

 

 厚生労働省は7月25日、日本人の平均寿命に関する最新の調査結果を発表した。2012年の日本人男性の平均寿命は79.94歳、女性の平均寿命は86.41歳で2011年を上回った。日本は女性の平均寿命が長く、世界1位が続いていたが、昨年は2位に後退していた。今回の調査では、女性の寿命は2011年から0.51歳延びて再び世界一位となった。男性は0.50歳延び世界8位から5位に上昇している。

 寿命のデータはその国の社会的、経済的状況を反映するといわれる。日本の調査結果で特徴的なのは、男女で平均寿命に大きな隔たりがあることである。
 どこの国でも女性の方が平均寿命が長いが、その差は国によって大きく異なっている。
 日本の男性と女性の平均寿命の差は6.47歳だが、アイスランドでは3.1歳、オランダでは3.6歳と日本の半分くらいしかない。一方、フランスは6.4歳、韓国は6.9歳、イタリアは5.1歳と日本に近い数字となっている。

 先進国において男性と女性の寿命差が小さい国は、1人あたりのGDPが高く、女性の社会進出ランキングで上位に位置している国が多い。一方、男女差が大きい国は、フランス、日本、イタリア、韓国など女性の社会進出ランキングで下位になる国や1人あたりのGDPが小さい国が多い。
 両者の相関性を証明することはできないが、女性の社会進出が進んでいる国は男女の労働条件が近いので寿命の男女差が少なく、女性の社会進出が遅れている国は、女性が家庭にいる割合が高いため、女性の平均寿命が長いことが推測される。

 日本のもうひとつの特徴は自殺による死亡率が極めて高いことである。日本の平均寿命が2011年と比較して大きく伸びたのは、震災の影響が消滅したことを除けば、自殺が減少したことが主な原因である。政情不安定な国では自殺率の変化が全体の寿命に影響を与えることはあるが、先進国では希である。韓国も自殺率が極めて高いことで知られており、社会的環境が似ている両国の特徴といえる。

 日本は経済力の高さに加えて、人口が集約されているなど、長寿の条件を備えており、世界一の長寿国となっている。だが今後は単なる寿命の長さだけではなく質の向上が重要と考えられる。
 日本の地域別の寿命では、1人あたりの医師数やベット数が少なく医療事情の悪い長野県が長寿1位となっている(本誌記事「長野県が長寿1位の本当の理由は何か?」参照)。長野は女性の就業率が高いことや離婚率が少ないなどの特徴がある。
 日本のレベルまで医療が整備され寿命が延びてくると、もはや医療環境の違いは寿命に影響を与えなくなってくる。男女の寿命差が大きいことも含めて、生活環境、社会環境の改善に目を向ける時期が来ている。

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