ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

日中韓FTA交渉の第2回会合。すでにTPPに参加した日本は有利な立場に

 

 日中韓の3カ国で貿易や投資の自由化を目指す、日中韓自由貿易協定(FTA)交渉の第2回会合が7月30日から中国の上海で行われている。
 日本は7月23日からTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の交渉に参加しているが、中国と韓国はTPPには参加していない。日本はTPPと同レベルの自由化レベルを中韓に対して求めていく方針。中韓はTPPを基準にFTA交渉が進んでしまうことを警戒しているが、基本的にはTPPでの交渉内容が反映されていく可能性が高い(写真は日中韓FTA交渉開始を決定した当時の各国首脳)。

 自由貿易交渉では自由化率という数値がよく用いられる。自由化率とは、発効後10年以内に関税を撤廃する品目が全品目に占める割合を示す指標。日本がこれまで締結してきた自由貿易協定では自由化率は80%台にとどまっていた。だがTPPは原則例外なしの交渉であり90%台後半という高い自由化率を目指すものとなっている。

 すでにTPP交渉に参加している日本は、TPP参加国との間では高い自由化率を設定しなければならないことがほぼ決まっているため、TPP以外の交渉でもこの水準までの自由化率は容易に受け入れることができる。

 また一般論として、自由貿易交渉は、高い競争力を持つ先進国に有利であり、途上国には不利となる。日本は本来、米国と同レベルの競争力を保持できる可能性があったが、バブル崩壊後の失われた20年で日本の国際競争力は急激に低下した。このためTPPでは、高い競争力を持つ分野を数多く抱える米国が圧倒的に有利な立場となっており、日本は防戦一方を強いられている。
 だが中国と韓国に対しては、まだ日本企業の優位性が高いことから、自由化率を高く設定することは日本に有利に働くことになる。

 中国と韓国は、TPPへの参加について正式には何も表明していないが、近い将来、両国がTPPに参加してくる可能性は高い。その時には日中韓FTAはTPPの中に吸収されていくことになるだろう。
 一方、米国はすでに欧州との間で米欧FTAの締結交渉を開始している。米欧FTAが締結されると、これはまさにグローバルスタンダードとなる可能性が高く、TPPも最終的には米欧FTAに収れんしていくことになる可能性が高い(本誌記事「TPPも骨抜き?米欧FTAの交渉がいよいよスタート」参照)。

 貿易の自由化は世界的な流れでありこれに逆らうことはできない。各国が自由貿易協定の締結に前向きなのは、参加しないとトータルでは不利になってしまうからであり、どの国も競争力の弱い産業を抱えているという点は同じである。TPPへの参加を決めたばかりの日本だが、米欧FTAを見据えた次の戦略が早くも求められている。

 - 政治, 経済 , , , , ,

  関連記事

tansuyokin
マイナス金利以降、タンス預金がさらに増加。将来への不安を反映?

 マイナス金利の導入以降、タンス預金が増加していると言われてきたが、その傾向に拍 …

bouekitoukei201311
日本の貿易赤字がさらに拡大。だがその主な原因は原発停止ではない

 財務省は12月18日、11月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた …

toyotajinnji
トヨタの新役員人事が話題。同社はガバナンスの本質をよく理解している

 トヨタ自動車は2015年3月4日、新しい役員人事を発表した。外国人や女性の積極 …

kousokumuryouka
GDP改定値は政府の目論見通り大幅上方修正。消費税増税はほぼ確実か?

 内閣府は2013年9月9日、4~6月期GDP(国内総生産)の改定値を発表した。 …

sharp
サムスンがシャープに100億出資。シャープもゾンビ企業への第一歩を踏み出したか?

 経営再建中のシャープは6日、韓国サムスン電子(サムスン電子の日本法人)との資本 …

contena
韓国大統領選はFTAをめぐって政策が真っ二つ。日本のTPP論争にも影響か?

 12月に行われる韓国大統領選挙において、2大候補者の経済政策が真っ二つに割れて …

oecd02
OECDの世界経済見通し。日本は好調だが10兆円の景気対策による影響が大きいと指摘

 経済協力開発機構(OECD)は5月29日、2013年の世界経済見通しを発表した …

kindorupaper
いよいよキンドルが日本上陸。自費出版サービスもスタートし、出版社は戦々恐々

 アマゾンがとうとう電子書籍端末「キンドル」を国内で販売開始する。同社の日本法人 …

nichigin
黒田新総裁は実はインフレ課税を狙っている?刺激的な英経済紙のコラムが話題に

 日本のインフレ課税の可能性について指摘したエコノミスト誌のコラムが市場関係者の …

canadabank
英国が中央銀行総裁に外国人を登用。日銀の独立性というならこのくらいやってみろ!

 英国が中央銀行の次期総裁に外国人を任命し、市場関係者の中で驚きが広がっている。 …