ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

ミャンマーとの経済協力で日本は一歩リード。だが手放しでは喜べない

 

 民主化と経済開放が進みつつあるミャンマーとの経済協力について、日本が他国を一歩リードしている。日本はミャンマー向けの債権約3000億円の放棄をいち早く表明しており、来年から円借款を再開することをこのほど決定した。
 日本が各国に先がけてミャンマーの債務問題解決に乗り出すことで、今後のミャンマー開発における主導権を確保したい意向だ。

 だがこの状況を手放しで喜ぶわけにはいかない。本来であれば、日本はミャンマーの民主化と経済開放に関して、もっと強いリーダーシップを発揮できる立場だったはずなのである。

 太平洋戦争中、日本の支援のもとイギリスからの独立戦争を行ったミャンマーは親日意識が強い。もちろん単純に日本が好きというわけではない。ミャンマー人は非常にしたたかであり、旧宗主国のイギリスと中国の影響力のバランスを取るため、日本を活用しようと意識が非常に強いのだ。
 つまり日本はミャンマーとの利害がよく一致する国なのである。

 だがこれをよく思わないのが欧米各国である。ビルマ独立運動の父であるアウンサン将軍は何者かに暗殺され(英国諜報部が関与しているといわれる)、その娘であるアウンサン・スーチー氏は英国で教育を受けた。スーチー氏が行ってきた民主化運動は、単なる民主化運動ではなく、解放後のミャンマー利権の獲得を狙った欧米各国の意向が強く働いている。

 ミャンマーの軍事政権が鎖国状態を続けてきたのは、スーチー氏を通じて、欧米の支配下に入ることを嫌ったからだ。

 本来であれば、ここで日本がミャンマーの民主化と経済開放でリーダーシップを取ることができる余地があった。だが欧米各国がスーチー氏を通じてミャンマーの非民主的な政策を非難し、対外開放を迫った際には、日本はただそれに追随するだけであった。

 無知な日本のマスコミは、欧米によるミャンマー批判が強まった時には、スーチー氏を純真無垢な民主活動家としてヒーロー扱いし、一転、欧米主導で経済開放が決まったら、今度はミャンマー進出に乗り遅れるな!と愚かな報道ばかりしている。

 今回のミャンマーとの関係強化は日本外交の成果ではなく、先方の意向が強く働いているということを忘れてはならない。

 - 政治, 経済

  関連記事

kinrijosho
政府が金利上昇対策に本腰。国債発行総額の抑制と超長期債へのシフトが進む

 政府が金利上昇に備えた動きを加速させている。財務省は2015年1月14日、20 …

merukeru03
最低賃金の導入に揺れるドイツ。最低賃金制度は経済成長の阻害要因なのか?

 最低賃金の導入をめぐってドイツが揺れている。ドイツは一部の職種を除いて最低賃金 …

piketishasin
ピケティが主張する資産格差拡大は日本でも発生しているのか?

 フランスの経済学者トマ・ピケティが話題となっている。ピケティの著作である「21 …

kourousho
「呪われた法案」との声も。心機一転、再提出した派遣法改正案が再び先送り?

 今国会の目玉法案のひとつで、派遣労働者の受け入れ期間の上限を撤廃する労働者派遣 …

setsubitousi
日本企業の内部留保が過去最高。むしろ重要なのは資産の有効活用

 日本企業が内部留保を蓄積している。2013年3月期における日本企業の内部留保は …

hagel06
極度の緊張が続く北朝鮮情勢。だが妥協点を探る動きも出始めた

 極度の緊張が続く北朝鮮情勢において、妥協点を探る動きが出始めた。米国防総省は、 …

machikado
景気回復を示す指標が相次ぐ。ただ先行指標は踊り場を入りを示唆?

 景気の回復を示唆する指標が相次いでいる。消費動向調査による消費者心理は5カ月連 …

kuroda02
日銀が物価目標の達成時期を先送り。2年で2%は実質的に撤廃

 日銀は2015年4月30日、「15年度を中心とする期間」としてきた物価目標達成 …

no image
人民元が対ドルでじわじわ上昇。中国当局が米側に譲歩か?

 この1ヶ月、対ドルでの人民元の上昇が続いている。7月に1ドル=6.3967元の …

sebunsuzu
物言う株主がセブンの世襲人事観測に警鐘。会社側は否定しているが・・・

 物言う株主として知られる米ヘッジファンド運営会社サード・ポイントが、セブン&ア …