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IMFの年次報告書で消費税は15%が望ましいと主張している理由

 

 IMF(国際通貨基金)は8月5日、日本経済に関する2013年度の年次報告書を発表した。安部政権の経済政策であるアベノミクスについておおむね評価する内容となっているが、中期的な日本の財政にはリスクがあり、消費税の増税は予定通り実施すべきとの指摘が盛り込まれた。IMFでは最終的に15%までの消費税引き上げが必要としている。

 IMFには勝手に各国の経済を評価しているようなイメージがあるがそうではない。年次報告書を作成するにあたっては、各国の財政当局にヒアリングを実施し、綿密な打ち合わせを行っている。
 日本については今年5月に調査チームが来日し、財務省など政策当局の担当者と協議を重ねてきた。したがって、IMFによる報告は、IMF自身の見解と財務省の見解の双方が反映されているとみるべきである(本誌記事「IMFが日本との協議を終了。アベノミクスを評価するも構造改革とセットにすべきと指摘」参照)。

 年次報告ではアベノミクスについて、前例のない金融緩和と積極的な財政出動の組み合わせによって、景気は力強く改善していると評価している。これは日銀による異次元の量的緩和策と、今年1月に成立した2012年度補正予算(総事業費20兆円、政府支出10兆円の緊急経済対策)の効果のことを指している。アベノミクスは金融緩和だけではなく、公共事業とのセットとして認識されている点には注意が必要である。
 一方、中期的な財政見通しについては、日本は債務過剰というリスクを抱えており、2015年までに消費税を10%に増税するというプランには妥当性があるとしている。さらに報告書では最終的に15%までの消費税増税が必要と明記している。

 この数字はおそらく日本政府がかかげている2020年度までに国と地方を合わせたプライマリーバランスを黒字にするという目標をそのまま反映した数字と考えられる。
 現在の日本政府のプライバリーバランスは約22兆円の赤字である(政府のみの数字。予算ベースの概算値なので執行ベースの正式な数値とは差がある)。消費税を現在の5%から15%まで増税すれば単純計算で20兆円の税収増となる。支出が変わらなければ、これでほぼプライマリーバランスの赤字は解消することが可能となる計算だ。
 この部分については、財務省が提示した数値をそのまま反映させている可能性が高い。IMFがこれを了承しているということは、完全にプライマリーバランスが黒字にならなくても、消費税が15%に増税され、プライマリーバランス黒字化のメドが立てば、ある程度の国際的な信認を得られるということを意味している。

 日本の財政については、どの程度の水準まで改善すればよいのか様々な意見がある。だが国際的な市場の信認という意味では、消費税15%という数字がひとつの落としどころになる可能性が高い。

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