ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

企業の設備投資予定額が大幅増。だが公共事業の影響も大きく継続性があるかは不明

 

 日本政策投資銀行は8月5日、2013年度の設備投資計画に関する調査結果を発表した。それによると国内大企業における2013年度の設備投資予定額は15兆9454億円となり2012年度の実績から10.3%増加する見通しとなった。2ケタの伸び率となるのは1991年以来22年ぶり。

 これまでアベノミクスは株高を背景とした個人消費への刺激が中心となっており、企業の設備投資にまで結びついていなかった。設備投資に回復の兆しが出てきたことで、アベノミクスの効果が実体経済に波及する道筋が見えてきた。

 だが数字をより細かく見てみると、必ずしも手放しで喜べる状況とはいえない。約16兆円の設備投資のうち、3分の2を占めているのは非製造業であり、製造業の設備投資は5兆円程度に過ぎない。しかも非製造業のうち、伸び率が大きい分野は、小売、卸売り、不動産、運輸など特定分野に偏っている。

 小売や卸売りの設備投資が活発なのは、コンビニやスーパーなどの新規出店が増加していることが主な原因と思われる。これは従来と同様、個人消費が増加していることを背景としたもので、大きな変化とはいえない。一方、不動産、運輸の増加については、公共事業による効果(2012年度補正予算を用いた総事業費20兆円の緊急経済対策)も大きいと考えられる。

 一方、製造業については、設備投資の絶対額で自動車が大きく牽引する一方、伸び率では石油関連分野がリードした。自動車は北米向けの輸出が好調であることが主な要因と考えられる。石油については、製油所の閉鎖や合併などに伴う設備更新という意味合いも強く、それほど前向きなものではない。また製造業全体としては、調査開始以来、初めて「設備の維持・補修」が「能力増強」を上回った。生産力を増強させるための投資ではなく、現状維持にとどまっている企業が多いことをうかがわせる。

 結局のところ、個人消費と公共事業、自動車に依存した状態であることに変わりはなく、基本的な経済構造は大きく変化していない。公共事業への依存度が高い分野については、来年度以降、金額が減少する可能性もある。設備投資が復活したと判断するためには、自動車以外の製造業分野において、もう一段の拡大が必要になるだろう。

 - 経済 , , , ,

  関連記事

suga
消費税増税の決定は9月9日のGDP改定値で。財務省の筋書き通り数値は良好?

 自民党の参院選圧勝をうけて、消費税増税決定のタイミングに注目が集まり始めている …

microsoft
マイクロソフトが大規模な組織再編に着手。脱PCで伝統の事業部制を放棄

 米マイクロソフトは7月11日、これまでにない大規模な組織再編を行うと発表した。 …

frb
FRBが利上げを見送り。今後の焦点は労働市場ではなくインフレ率

 FRB(連邦準備制度理事会)は2015年9月17日に開催したFOMC(連邦公開 …

abeseichou02
安倍首相が成長戦略第2弾を発表。規制緩和を掲げるも消極的な印象。焦点は特区構想へ

 安倍首相は5月17日、都内で講演し企業の設備投資を年間70兆円台に回復させるこ …

shutoko02
首都高改修の空中権活用。良案だが日本のインフラ問題を根本解決できるわけではない

 政府の経済財政諮問会議において、老朽化した首都高速道路の改修に民間資金を活用す …

shanhai
過大な期待や悲観は無用!中国市場に対する3つの誤解を解く

 近年、日本は中国という存在に振り回される状況が続いてきた。当初は巨大市場に乗り …

apuruwochi
アップルウオッチの登場で金の価格形成メカニズムが変わる?

 米アップルは2015年3月9日、腕時計型のウェアラブル端末「アップルウオッチ」 …

frb
予想外に好調だった米雇用統計で、9月緩和縮小の声が高まる

 米労働省は7月5日、6月の雇用統計を発表した。失業率は7.6%と横ばいだったも …

bouekitoukei 201501
1月の貿易統計、輸出数量がようやく増加傾向に。要因は好調な米国経済

 財務省は2015年2月19日、1月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し …

legoburokku
レゴが素材の脱石油化を決断できる理由は、ズバリ高収益体質

 デンマークの玩具世界大手レゴグループは、主力商品のレゴブロックの素材を従来の石 …