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米国の政府系住宅金融公社2社が業務縮小を決定。米国のバブル処理は完全終了へ

 

 オバマ米大統領は8月5日、住宅金融市場の改革案を発表した。政府系住宅金融機関である米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の業務を縮小し、民間主導による住宅資金の貸し出しを促進する。

  米国では1929年の世界恐慌以後、良質な住宅の提供は重要な国策の一つとして位置付けられている。ファニーメイは世界恐慌からの復活を目指したニューディール政策の一環として1938年に設立された。リーマンショックによる不良債権問題が顕在化するまで、70年にわたって住宅政策における中心的な役割を果たしてきた。

 米国では消費者保護が徹底しており、日本にように住宅ローンの貸し付けにおいて個人保証を負わせることはしない。もしローンが返せなくなったら、家を手放すだけでよく、家を追い出された後も返済に苦しむようなことにはならない。
 一方金融機関は、住宅ローンに関するすべてのリスクを負うことになるため、良質で価値が永続する物件にしか融資しない。結果として米国の住宅は非常に質が高く、低所得者が住むような家であっても、日本の裕福なサラリーマンが住む家よりもはるかに立派だったりする。米国では築年数という概念があまりなく、築100年の住宅が普通に売買されている。それは住宅の質が高く、適切にメンテナンスをすれば半永久的に使用できるからである。事実上30年で朽ち果ててしまう日本の住宅とは根本的に異なっている。
 このシステムは消費者にとっては非常に都合がよいが、金融機関の負担が大きいという欠点がある。これを補完するのが、政府系住宅金融機関である。ファニーメイやフレディマックは、民間の金融機関から住宅ローン債権を買い取り、民間金融機関の負担を軽くする役割を担ってきた。

 だがリーマンショック前の住宅バブルでは、低所得者向けの安易な融資が行われ、住宅金融公社2社は過剰な債務を抱えてしまった。
 リーマンショックから5年を経て、米国では金融機関の不良債権処理がほぼ終了し、住宅公社2社も黒字に転換した。住宅価格はここ1年で急激に上昇しており、ほぼリーマンショック前の定常状態に戻りつつある。米国政府は、住宅金融公社の役割は完全に終わったと判断しており、業務の縮小を決定した。2007年前後の住宅バブル末期には公社内の規律も緩み、経費を流用した私的な飲食なども横行していたといわれる。業務縮小の決定は、こうした公務員のふるまいに対するけじめという意味合いも含まれていると考えられる。

 今後は民間の金融機関が提供する住宅ローンのみで、米国の住宅政策を実施していくことになる。

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