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2020年度の財政黒字化は困難との内閣府試算。消費税15%以外に方法はないのか?

 

 政府は8月8日、閣議を開催し財政健全化の道筋を示す「中期財政計画」を閣議了解した。閣議には、閣議了解の対象ではないものの、中期財政計画に関連した試算が提出された。試算では、消費増税を予定通り実行した場合には、2015年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)赤字半減という目標は達成できるものの、2020年度に黒字化するという目標は達成が困難としている。

 試算では安部政権の経済政策であるアベノミクスが効果を発揮することを前提としたケースと、そうでないケースの2つが提示された。アベノミクスが効果を発揮するケースでは、今後10年の経済成長率について名目3%、実質2%程度と仮定している。一方そうでないケースでは名目2%、実質1%としている。
 歳出増加の見込みは、社会保障費については年金、医療などの国庫負担分の増加を見込み、年間約1兆円が自然増になるとした。その他の経費については物価上昇率並みに支出が増加すると仮定している。
 試算結果は、2015年度における赤字半減目標は達成できるものの、2020年度の黒字化はかなり厳しいというものになった。

 2013年度予算における基礎的財政収支は約23兆円である。GDPが成長することなどを考慮すると2015年度は15兆円程度の赤字に収まっていれば、赤字半減目標を達成することができる。消費税を現在の5%から10%まで増税できれば税収は約10兆円ほど増加するので、この目標は容易に達成できることが分かる。
 だがこの試算では2020年度の基礎的財政収支は11兆円の赤字になってしまい、黒字化という目標は達成できないことになる。最低でも消費税を15%にしないと目標達成は不可能である。IMFが消費税15%という数値に言及しているのは、日本政府のこうした試算を背景にしている(本誌記事「IMFの年次報告で消費税は15%が望ましいと主張している理由」参照)。

 一般会計予算の約7割は、社会保障費、地方交付税交付金、国債費用といった事実上削減が不可能な項目となっている。現実問題として支出を大幅に減らすことは困難であり、歳出が削減できない以上、消費税に頼るしかないというのが政府の判断である。
 確かに半分は正しいのだが、半分はそうともいえない部分がある。それは法人税による税収増である。日本経済が比較的好調であった2007年度は、法人税による税収が今の2倍近くあった。金額にすると16兆円となり、現在との差額である8兆円は消費税に換算すれば4%増税分に匹敵する。

 日本経済がもっと高い成長を見込める状況であれば、消費税に頼らなくても財政再建を実現することは十分可能なのだ。こうした経済成長をベースにした財政再建論は、小泉政権の時代にはかなり真剣に議論されたが、現在の日本にそのような雰囲気はない。多くの国民が、閉塞感漂う日本経済の現状では、こうした高い成長は実現不可能と薄々感じ取っているからなのかもしれない。

 消費税の増税が決まれば、2015年度に赤字半減という目標は達成できるので、対外的にはひとつのヤマ場を超えることになる。だが2020年度までの5年間は、今以上に厳しい状況になることはほぼ間違いない。

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