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日銀黒田総裁が消費税増税を肯定しなければならない理由

 

 日銀の黒田総裁は8月8日、金融政策決定会合後の記者会見において「脱デフレと消費増税は両立できる」との見解を明らかにした。消費増税を延期しようという政府与党内の一部の動きを牽制した格好だ。各紙には黒田総裁が「経済成長に自身を示した」といった内容の見出しが並んだが、量的緩和を実施中の中央銀行総裁という立場や、発言の詳細などを考慮すれば、この発言はある程度割り引いて考える必要がある。

 まず重要なのは黒田氏は「景気回復と消費税増税は両立する」とは言っていない点である。現状の景気認識に自信を示す発言は行っているが、消費税との関連で言及したのは、あくまでデフレとの関係である。理論的には中央銀行による資金供給を継続すれば、程度はともかく物価を上昇させることは可能である。だがその時に実質GPDの成長を伴っているのかは定かではない。

 もうひとつは、現在、日銀は異例の水準の国債買い入れを行っているという事実である。日銀は国債市場の7割の国債を買い入れているが、それは既発債の借り換え分も含んだ数字である。政府が発行する新規国債についていえば日銀はすべての額を買い取っている計算になる。これは見方によっては日銀による財政ファイナンス(中央銀行がお金を刷って政府の赤字を補填すること。ハイパーインフレにつながるリスクがある)ということにもなりかねない。

 国際的な金融市場でそのようにみなされていないのは、日本が2020年度までに基礎的財政収支を黒字にすると事実上、国際公約しているからである。現在の日本の歳出は7割が社会保障費や国債費、地方交付税交付金などで占められており、年金を大幅減額するなどの措置を取らない限りは、歳出削減で財政再建を実施することは難しい。必然的に財政再建の公約を実現するためには、消費税を大幅増税する必要があり、日本は事実上、消費税の増税を公約してしまっている状況なのだ。

 だが逆にいうと、消費増税の公約が存在していることが財政再建が可能という根拠になっており、この前提が崩れてしまうと、日銀の量的緩和が即座に財政ファイナンスと見なされてしまう可能性がある。このため黒田氏は口が裂けても「消費税の導入は慎重に」とは発言できないのである。

 当初は日銀の物価目標の実現は困難とみる市場関係者が多かったが、最近は輸入価格の上昇などで商品の値上がりも目立つようになってきた。景気回復が伴っているかは別問題として、一部の市場関係者は2%という物価目標の実現も不可能ではないと考えるようになってきている。

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