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国の借金は1000兆円を突破。日本は資産も持っているので問題ないとの意見もあるが・・・

 

 財務省は8月9日、国債などの残高を合計した「国の借金」が初めて1000兆円を超えたと発表した。社会保障費などの支出増加が主な原因。3月末時点の金額から約17兆円増加し、はじめて1000兆円を突破した。日本の財政が極めて厳しい状態にあることがあらためて浮き彫りになった格好だ。

 財務省では3カ月に一度、国債などの残高を発表しており、6月末分の数値は毎年この時期に発表となる。
 8月は予算編成がスタートする月であり、借金の残高が増加しているというニュースは、結果的に査定を厳格化したい財務省の意向を反映した形になることについては留意が必要だ。

 ただ、日本の債務残高が世界でも有数の水準に達していることは以前からよく知られた事実である。日本の公的債務のGDP比率は240%近くに達しており、債務問題で破綻の瀬戸際にあったギリシャよりもはるかに高い。主要国は総じて100%程度であることを考えると日本が極めて厳しい状態にあることは間違いない。
 だが一方で、日本政府は多額の資産を保有しており、これらを差し引くとそれほど大きな問題ではないとの見解もある。ただ日本政府が保有する資産を精査してみると、この見解はあまり説得力を持っていないことが分かる。

 確かに負債から資産を差し引いたネットでの債務残高のGDP比は135%程度となり、グロスの数値の半分となる。だが先進各国との比較という意味では、同じ条件で比較しても日本が突出して債務比率が高いという状況に変化はない。
 さらに問題なのが、日本政府が保有する資産の中身である。債務問題において資産が存在すること自体はよく議論されるのだが、肝心の資産内容について詳しく知る人は少ない。確かに日本政府は現在、600兆円ほどの資産を保有している。だがこのうち流動性が高い資産は100兆円程度しかない。残りは年金積立金や貸し付け、固定資産などで占められている。年金積立金は年金加入者のお金であり、そもそも政府債務と相殺できるものではない。また貸付金も地方公共団体向けや独立行政法人向けとなっており、種類によっては、回収が困難であることが予想される。固定資産の多くは道路や堤防、港湾などであり、 収益性のある資産ではない。さらにいうと流動資産100兆円も多くが米国債であり、現実に市場で自由に売却することは事実上不可能だ。
 むやみに債務残高を強調するのは問題だが、現実に負債から差し引くことができる資産がほとんどないというのも事実なのである。

 また過剰債務の何がよくないのかという論点が定まっていないことも問題といえる。日本は確かに過剰な債務を抱えているが、まだまだ増税余地があり、国際社会は日本が即座に財政破綻するとは考えていない。むしろ市場関係者が気にしているのは、日本の債務が過剰であることを理由に、市場で国債が売られることである。
 日本国債は日本人が保有しているので大丈夫という意見があるが、すでにその前提条件は成立していない。日本国債の外国人保有比率は年々上昇しており、新発の短期債に限って言えば、外国人の保有比率は20%に達しようとしている。ヘッジファンドなどが先物市場で売りを仕掛け、現物保有者の一部がこれに追随すれば、国債の価格をあっという間に下落させることができる。国債価格が下落しても日本経済が破綻するわけではないが、金融機関や年金には大きな損失が出て、市場は大混乱となるだろう。

 債務過剰を短絡的に消費増税に結びつけることは禁物だが、日本の財政が危険水準に達していることは事実である。財政再建が必須の課題であり、徹底して議論すべきなのはその方法なのである。

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