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注目の4~6月期GDPは実質で2.6%。改定値もこの水準であれば消費税増税?

 

 内閣府は8月12日、2013年4~6月期の国内総生産(GDP)一次速報値を発表した。消費税増税の主な判断材料となる二次速報値(改定値)の元になる数値であることから、今回のGDPは多くの関係者が注目していた。

 結果は、物価変動の影響を除いた実質GDPが前期比で0.6%増、年率換算では2.6%増となった。また名目GDPは前期比で0.7%増、年率換算で2.9%増となった。
 実質で3%台の数値が出ると予測していた市場関係者が多く、思いのほか伸び悩んだという印象だが、消費税増税の条件はクリアしそうである。甘利経済財政相は「安倍内閣の経済政策の効果が着実に表れた結果である」との談話を発表している。

 消費税増税関連法には景気条項が付帯しており、名目3%、実質2%程度の経済成長が増税の条件となっている。これは2011年から2020年までの平均という形で幅を持たせてあるので、単年の数字に縛られるものではないが、名目3%、実質2%がひとつの目安となっていることは間違いない。今回は名目が2.9%、実質が2.6%だったことから、おおよそこの条件をクリアしていることになる。

 もっとも今回の数字にはちょっとしたカラクリがある。それは、2013年1月に成立した2012年度補正予算の効果である。公共事業は予算が立てられてから実際に執行されるまでにタイムラグがある。1月に決定した公共事業は、最近になってようやく建設業界への受注額増加という形で顕在化してきており、今年いっぱいはその効果が持続する可能性が高いのだ(本誌記事「消費税増税の決定は9月9日のGDP改定値で。財務省筋書き通り、数値は良好?」参照)。

 実際、4~6月期のGPD成長率の大半は外需ではなく内需によってもたらされているのだが、内需の半分以上は公的需要、つまり公共事業の影響である。一方、住宅や企業の設備投資など民間投資は前期に比べて伸び悩んでいる。公共事業の効果がなくなる次年度以降、景気がどうなるのかは現時点では何ともいえない。3%台の成長を予測する声が大きかった中で成長率が2%台にとどまったということは、民間の消費や投資が足踏み状態になっていることを示唆しているのかもしれない。

 一方、視点を物価の方に向けてみると、今回の数値では3四半期ぶりに名目成長率が実質成長率を上回った。これまでは名目値が実質値を下回る「デフレ」状態が続いていたが、日銀の物価目標の導入や円安による輸入価格上昇によって、とうとう物価上昇が始まった兆しが見え始めた。

 政府与党内では、消費税増税をめぐって、様々な意見が出ている。とりあえず景気条項を満たした今回の数値は、こうした政府与党内の議論にも大きな影響を与えることになるだろう。

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