ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

ニューヨークの景観論争で浮き彫りになった?日本の規制の実態

 

 ニューヨークの超高層ビルの看板をめぐってちょっとした論争が起こっている。場所はマンハッタンの中心部、タイムズスクウェアにあるコンデナストビル。その名の通り、「VOGUE」や「GQ」といったファッション雑誌を出しているコンデンナスト出版が入居している超高層ビルである。

 このビルの最上部に、ファッション・ブランドのH&Mが巨大な看板を設置するプランを出した。看板の大きさは21メートル×21メートルという巨大なもの。このビルの最上部には尖塔が付いているが、その下の部分、地上48階の位置に看板は四方に向けて設置されるという。
 ニューヨークでは屋上の光る看板は原則として禁止されている。ただタイムズスクウェアだけは、歓楽街でもあることから例外的に許可されている。
 タイムズスクウェアの巨大な看板群は一つの観光名所にもなっているし、コンデナストビルの1Fには有名なNASDAQの巨大ディスプレイも設置されている。ただ超高層ビルの屋上に巨大な看板を設置する例はなく、この部分が論争を呼んでいるようだ。

  さらにこの騒ぎを紹介した米メディアの記事に、地域住民による「ニューヨークを東京のようにする気か」というコメントが紹介されてしまったことで、ニューヨーカーが東京の景観について醜悪と感じているという一面も浮き彫りにしてしまった。

 確かに日本の都市景観が欧米各国と比べて醜悪だという点は昔から議論の対象となってきた。なにしろ、日本最大の名所であった日本橋の上に首都高速道路を作ってしまう国である(現在は地下化計画が進行中)。一般的にアジアの都市は景観に対する制限は少なく、派手な広告であふれていることが多い。一方、米国や欧州は景観に対する規制がかなり厳しく、一般的な住宅地においても庭の芝の刈り方まで細かく規制されていることすらある。

 もっとも中国のレベルまでくると無秩序な看板が一種の文化にもなっており、一概にどちらがよいと判断することは難しいだろう。ただ日本において街角の広告にほとんど規制がないことは多くの外国人が奇異に感じていることのようである。看板に反対するニューヨークの住民が、より雑然としている中国ではなく東京を引き合いに出したことからもそれは伺い知ることができる。日本の景観の無秩序さについて彼らが奇異に感じるのは、日本はビジネス上の規制が極めて多い国として国際的にもよく知られているからである。

 ビジネスに関する政府の規制が極めて多いにもかかわらず、なぜ景観には規制が働かないのか?それは規制が行われる真の目的にありそうだ。日本における規制の多くは、国民の権利や安全を保証するためのものではなく、特定の既得権益者の利益保護を目的としている。このため、利益誘導にならない規制は日本では逆に実現されにくいという特徴がある。景観を規制したところで、票にもお金にもならないことは明白である。
 逆に大阪では、これまで電子看板が全面的に規制されたきた珍しい地域の一つである御堂筋において、設置を可能とするための「規制緩和」が検討されているという。

 - 政治, 社会, 経済 , , ,

  関連記事

scotlandmap02
スコットランドの独立問題。果たして本当に国家分裂の危機だったのか?

 英国北部スコットランド独立の賛否を問う住民投票は、賛成が45%、反対が55%( …

bouekitoukei201304
4月の貿易収支。エネルギー輸入増と輸出数量の減少が続き、赤字連続記録を更新

 財務省は5月22日、4月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易 …

kuroda
日銀黒田総裁が消費税増税を肯定しなければならない理由

 日銀の黒田総裁は8月8日、金融政策決定会合後の記者会見において「脱デフレと消費 …

sharp
シャープが再び巨額損失を計上。資本政策をめぐって経営陣は右往左往

 経営再建中のシャープは2015年5月14日、注目の2015年3月期決算を発表し …

hongkongramu
香港行政長官選挙は予想通りの出来レースで親中派女性候補が勝利

 香港トップである行政長官を選ぶ選挙が行われ、中国政府の支持を得た前政務官の林鄭 …

boeing777x
東レが現地工場を建設しボーイングに炭素繊維を長期供給。製造業のモデルケースに

 東レは2014年11月17日、米ボーイング社から航空機向け炭素繊維複合材を長期 …

businessman07
厚労省のブラック企業調査。労働行政のパンドラの箱を開けてしまったとの声も

 厚生労働省は2013年12月17日、若者の使い捨てなどが疑われる、いわゆる「ブ …

nichigin02
円安をめぐって日銀と政府・財界に温度差。追加緩和か物価目標修正か?

 急激に進む円安をめぐって、日銀と政府・財界に温度差が出てきている。今後の金融政 …

lassen ddg82
米駆逐艦の南シナ海航行。妥協点を模索するも、英国が攪乱要因に?

 米海軍の駆逐艦が、中国が埋め立てを行う南シナ海の南沙諸島付近を航行したことで、 …

sontrump
孫正義氏がトランプ氏と電撃会談で米国投資を確約。パートナーが鴻海である理由

 ソフトバンクグループの孫正義社長は2016年12月6日、トランプ次期米大統領と …